電子機器の高性能化・小型化が進む中で、 多層基板(Multilayer PCB) の需要が急速に拡大しています。
特に2025〜2026年は、 AIサーバー向け40〜60層基板の需要が爆発的に増加しており、 基板メーカー各社が増産投資を加速しています。
この記事では、多層基板の構造・用途・メリット、 そして AIサーバーで多層基板が不可欠となっている理由 を、 最新動向を交えてわかりやすく解説します。
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多層基板とは?(基本の定義)
多層基板とは、銅配線層(導体層)が3層以上積み重なったプリント基板のこと。
一般的な層構成は以下の通り:
- 4層:民生機器
- 6〜12層:産業機器・通信機器
- 20〜30層:高機能サーバー
- 40〜60層:AIサーバー・HBM搭載GPU基板
特にAIサーバーでは、 40〜60層の超多層基板が標準化しつつあるのが大きな特徴です。
多層基板の構造(どうやって層を増やす?)
多層基板は、以下の材料を交互に積層して作られます。
- 銅箔(Cu):信号層
- プリプレグ(PP):絶縁層(ガラスクロス+樹脂)
- コア材:中心となる硬い基板
- ビア(層間接続):信号を上下層へつなぐ穴
特に高多層では、以下の技術が必須です:
- ビルドアップ構造(SAP / mSAP)
- 埋め込みビア(Buried Via)
- VIP(Via-in-Pad)
- 低誘電率材料(Low‑Dk/Df)
- 高耐熱材料(Megtron 6/7/8)
ビア構造を理解すると多層基板がよくわかる
多層基板の配線密度を決めるのが ビア(Via)。
文章で図解するとこうなる:
● スルーホールビア(TH)
基板を貫通する穴。最も一般的。
● ブラインドビア(BVH)
外層 → 内層へつながる穴。 高密度配線に必須。
● 埋め込みビア(Buried Via)
内層同士をつなぐ穴。外から見えない。
● VIP(Via-in-Pad)
パッド内にビアを埋め込む構造。 HBM周辺で必須の技術。
AIサーバーの多層基板は、ほぼ例外なくVIPを採用しています。
多層基板が必要とされる理由
① 高速信号のノイズ対策(GND層が必須)
PCIe Gen5(32GT/s)、Gen6(64GT/s)、CXLなどの高速信号では、 信号層とGND層を交互に配置する必要があります。
→ 結果として層数が増える。
② 電源層の分離(大電流対応)
AIサーバーのGPUは 600〜700W級。 電源層を複数確保しないと電圧降下が発生。
③ HBM搭載GPUの高密度配線
HBMは配線幅が 数十μmレベル。 物理的に多層化しないと配線が収まらない。
④ EMI/EMC対策
層数を増やすことで、 シールド層・GND層を増やしノイズ耐性を向上できる。
多層基板の主な用途
● AIサーバー(GPUサーバー)
→ 40〜60層の超多層基板が主流 → HBM搭載GPUの増加でさらに多層化
● 5G基地局・通信機器
→ 高周波対応のLow‑Dk材料が必須
● 自動車(ADAS・ECU)
→ 安全性のため多層化が進む
● 産業機器・医療機器
→ 高信頼性が求められる領域
多層基板のメリット
① 高密度配線が可能
複雑な回路を小さな面積に収められる。
② 高速信号に強い
信号層とGND層を最適配置できる。
③ 電源層の分離で安定動作
大電流・高発熱のGPUに必須。
④ EMI/EMCに強い
ノイズ対策がしやすい。
多層基板のデメリット
● コストが高い
層数が増えるほど材料費・工程数が増加。
● 製造難易度が高い
ビア形成・積層ズレ・反り対策が必須。
● 歩留まりが低下しやすい
特に40層以上は難易度が跳ね上がる。
AIサーバーで多層基板の需要が伸びる理由
2025〜2026年のAI投資拡大により、 GPUサーバーの出荷台数が急増。
その結果、 40〜60層の超多層基板の需要が爆発的に増加しています。
理由は以下の通り:
① GPUの高性能化(600〜700W級)
→ 電源層・GND層が大量に必要 → 多層化が不可避
② HBM搭載GPUの普及
HBMは配線密度が極端に高く、 多層化しないと物理的に収まらない。
③ PCIe Gen5/Gen6・CXL対応
高速信号は層間干渉を避けるため、 信号層とGND層を交互に配置する必要がある。
④ データセンターの省スペース化
1Uあたりの性能を上げるため、 高密度実装 → 多層化 が進む。
多層基板とリジッドフレックスの関係
AIサーバー内部では、 多層基板(40〜60層)+FPC+リジッドフレックス の組み合わせが増加。
理由:
- GPU周辺は高密度 → 多層基板
- 接続部は可動性 → FPC
- 一体化が必要な部分 → リジッドフレックス
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🔥 FAQ(よくある質問)
Q1. 多層基板は何層から“高多層”と呼ばれますか?
一般的には 20層以上 が高多層とされます。 AIサーバーでは 40〜60層 が主流です。
Q2. 多層基板のコストが高い理由は?
- 材料(MegtronなどLow‑Dk材)が高価
- ビルドアップ工程が多い
- VIP(Via-in-Pad)など高難度加工が必要
- 歩留まりが低下しやすい これらがコストを押し上げています。
Q3. AIサーバー向け基板はなぜ40〜60層も必要?
- GPUが 600〜700W級 で電源層が多い
- HBM周辺の配線密度が極端に高い
- PCIe Gen5/Gen6・CXLの高速信号対策 これらが多層化を強制します。
Q4. 多層基板に使われる材料は何ですか?
代表的なLow‑Dk材料は以下:
- Megtron 6(Dk 3.4)
- Megtron 7(Dk 3.2)
- Megtron 8(Dk 3.0) 高速信号に強く、AIサーバーで広く採用されています。
Q5. 多層基板とリジッドフレックス基板の違いは?
- 多層基板:高密度配線・高速信号向け
- リジッドフレックス:可動部や狭いスペース向け AIサーバーでは 併用されるケースが増加 しています。 ▶ 関連:リジッドフレックス基板とは?
Q6. 多層基板の歩留まりが低いのはなぜ?
- 積層ズレ
- VIPの樹脂残り
- 反り(Warping)
- 内層ショート 層数が増えるほど難易度が上がり、歩留まりが低下します。
まとめ
多層基板は、 高密度配線・高速信号・大電流 に対応するための必須技術。
特にAIサーバーの普及により、 40〜60層の超多層基板の需要が急増しています。
今後もAI・通信・車載の成長とともに、 多層基板の重要性はさらに高まるでしょう。
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