プリント基板で長年使われてきた「FR-4」。
コストと性能のバランスに優れ、多くの電子機器で標準材料として採用されてきました。
しかし現在、AIサーバーや高速通信機器の拡大によって、
「従来のFR-4だけでは損失対策が難しくなる領域」
が増えています。
特に近年は、
- AIデータセンター
- PCIe Gen5 / Gen6
- 800G Ethernet
- 5G・ミリ波通信
など、高速・大容量通信への要求が急速に高まっています。
その結果、PCB市場では
- 低損失材料
- 高速伝送対応CCL
- 高周波基板材料
への注目が強まっています。
この記事では、
- FR-4とは何か
- なぜ低損失材料が重要になっているのか
- 「高周波」と「高速伝送」の違い
- AI時代にPCB材料がどう変わるのか
を整理して解説します。
FR-4とは?
FR-4は、ガラス繊維とエポキシ樹脂を組み合わせた代表的なPCB材料です。
長年にわたり、
- 家電
- パソコン
- 産業機器
- 民生機器
など幅広い分野で使われてきました。
FR-4が普及している理由はシンプルです。
- コスト性能が高い
- 加工しやすい
- 絶縁性能が安定している
- 量産向き
という非常に扱いやすい材料だからです。
現在でも、多くの一般用途ではFR-4が主流です。
なぜ今「低損失材料」が注目されているのか
高速通信では信号損失が問題になるため
近年は、データ転送速度が急速に上がっています。
特にAIサーバーでは、
- GPU間通信
- 高速SerDes
- PCIe Gen5 / Gen6
- 800G Ethernet
など、非常に高速なデータ通信が行われています。
通信速度が上がるほど重要になるのが、
- 伝送損失
- 波形劣化
- ノイズ
- ジッタ
です。
一般的なFR-4は、通常用途では十分高性能です。
ただし、
高周波帯域や長距離高速伝送では、誘電損失の影響を受けやすい傾向
があります。
そのため近年は、
- Low Dk(低誘電率)
- Low Df(低誘電正接)
- 低損失CCL
など、高速伝送向け材料への需要が増えています。
「高周波」と「高速伝送」は少し違う
ここは誤解されやすいポイントです。
実は、
- 5Gアンテナ
- ミリ波通信
などの「高周波設計」と、
- AIサーバー
- PCIe
- Ethernet
などの「高速デジタル伝送」は、厳密には別分野です。
高周波基板とは?
高周波基板は、主にRFや無線通信向けに使われる基板です。
例えば、
- 5G基地局
- ミリ波アンテナ
- レーダー
- 高周波モジュール
などです。
高周波領域では、
- 誘電率安定性
- 高周波損失
- インピーダンス制御
が非常に重要になります。
そのため、
- PTFE系材料
- Rogers系材料
- 高周波対応CCL
などが採用されます。
高速伝送向け基板とは?
一方でAIサーバーやデータセンターでは、
「高速デジタル信号を、いかに劣化させず伝送するか」
が重要になります。
特に現在は、
- 112G PAM4
- PCIe Gen6
- 高速バックプレーン
- GPUインターコネクト
などで、基板材料性能が通信品質へ大きく影響します。
この分野では、
- Low Dk
- Low Df
- 低損失FR-4
- Megtron系材料
などが使われています。
つまり現在のPCB市場では、
「高周波材料」だけでなく、「高速伝送向け低損失材料」の重要性が急速に高まっている
状況です。
FR-4はもう使われなくなるのか?
結論から言えば、そうではありません。
現在でも、
- 家電
- 一般産業機器
- 民生機器
ではFR-4が広く使われています。
また近年は、
- 高Tg FR-4
- Low Loss FR-4
など、高性能化したFR-4系材料も増えています。
そのため今後は、
- 一般用途 → FR-4
- 高速伝送 → 低損失材料
- RF・ミリ波 → 高周波材料
という使い分けが進む可能性があります。
AI時代でPCB材料はどう変わるのか
AIインフラ拡大によって、PCB市場では高性能化が加速しています。
特に今後は、
- 高多層基板
- 高速伝送対応材料
- 低損失CCL
- パッケージ基板
などの重要性がさらに高まると見られています。
一方で、
- 材料コスト上昇
- 製造難易度増加
- 放熱対策
- 信号品質管理
など、新たな課題も増えています。
そのため現在のPCB業界では、
「高性能化と量産性をどう両立するか」
が大きなテーマになっています。
まとめ
FR-4は現在でも非常に重要なPCB材料です。
ただし、
- AIサーバー
- 高速データ通信
- 5G・ミリ波
などの拡大によって、一部領域では従来材料だけでは対応が難しくなるケースも増えています。
その結果、
- Low Dk / Low Df材料
- 低損失CCL
- 高周波対応材料
への注目が高まっています。
今後のPCB市場では、
「どれだけ安く作れるか」
だけでなく、
「どこまで高速通信に対応できるか」
が、より重要になっていく可能性があります。


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