車載向けプリント基板は、スマホやPC向けとはまったく異なる要求が突きつけられます。
その中で、日本CMKは 車載向けビルドアップ配線板で世界トップシェア を持つメーカーとして、国内外の自動車メーカー・Tier1から高い評価を得ています。
この記事では、基板設計者の視点から 「なぜCMKが車載で強いのか」 「車載向けビルドアップ基板の設計で何が重要なのか」 を整理します。
車載向け基板が求められる背景(EV・ADAS)
車載電子は年々増加し、基板設計者にとって避けられない領域になっています。
- EV化でパワー系ECUが増加
- ADAS(自動運転支援)で高密度・高信頼性基板が必須
- 車載カメラ・レーダー・LiDARの増加
- OTAアップデート対応でECUの高性能化
結果として、車載向け基板は 「高密度 × 高信頼性 × 高耐熱」 という厳しい要求を満たす必要があります。
車載向けビルドアップ基板とは
ビルドアップ基板はスマホや通信機器で一般的ですが、車載向けでは以下の理由で採用が増えています。
- 高密度配線(ADAS・カメラ)
- 小型化(ECUのスペース制約)
- 高信頼性(Via構造の強化)
- 厚銅配線との組み合わせが可能
車載向けでは、スマホ向けのような極薄構造ではなく、 「厚銅 × 高Tg材料 × 低CTE × 高信頼性Via」 という“重厚なビルドアップ”が求められます。
日本CMKが世界トップシェアと言われる理由
理由①:車載向けビルドアップ配線板で世界トップシェア(事実)
複数のニュース媒体(ダイヤモンド・オンライン、Yahoo!ファイナンス、財経新聞)で 「日本CMKは車載向けビルドアップ配線板で世界トップシェア」 と明確に報じられています。
さらに、CMK公式サイトでも同様の記述があります。
理由②:車載向け売上比率が圧倒的に高い(最新データ:89%)
2026年3月期の決算では、 車載向け売上比率は 89% と公式に発表されています。
これは世界的に見ても極めて高く、 CMKが「車載特化型メーカー」であることを示しています。
理由③:高信頼性領域で強い(ADAS・パワートレイン)
報道・公式情報によると、CMKは以下の領域で強みを持ちます。
- ADAS(自動運転支援)
- パワートレイン
- EV制御
- 安全系ECU(ブレーキ、ステアリング)
これらは 高信頼性が最重要 の領域であり、 CMKの技術力が最も発揮される分野です。
設計者が知るべき車載向け基板の要求仕様
車載向け基板を設計する際、以下は必須のチェックポイントです。
温度サイクルに耐えるVia構造
- IVH(レーザVia)
- 埋め込みVia
- 積層Viaの熱応力対策
- Via周辺のクリアランス確保
材料選定(高Tg・低CTE)
- Tg 170〜200クラス
- CTEの低い材料で層間剥離を防ぐ
- 車載グレードの高耐熱樹脂
厚銅配線の熱設計
- 2〜6ozの厚銅
- 電流容量の計算
- 熱拡散の考慮
- パワーラインのクリアランス
ノイズ対策(車載はノイズ地獄)
- GNDの取り方
- シールド構造
- 電源ラインの分離
- 車載EMC規格への対応
スタックアップの考え方(車載向け)
車載向けビルドアップ基板の典型例:
- 高Tg材料(Tg180〜200)
- 厚銅層(2〜4oz)
- IVH+埋め込みVia
- 低CTE材料で層間剥離を防止
- パワー層と信号層の分離
スマホ向けのような極薄構造とは異なり、 “壊れない構造” が求められます。
Via構造と信頼性(IVH・埋め込みVia)
車載向けでは、Viaの信頼性が最重要です。
- 熱サイクルでViaが割れる
- 層間剥離が起きる
- パッド周辺の応力集中
- Viaの銅めっき厚不足
CMKはこの領域のノウハウが非常に強く、 設計段階でのアドバイスも豊富です。
熱設計のポイント(車載は熱との戦い)
車載向けは熱との戦いです。
- パワーラインの発熱
- 厚銅配線の熱拡散
- MOSFET・IGBT周辺の熱密度
- 放熱Viaの配置
- GNDプレーンの熱拡散
EV向けでは、 SiC・GaNパワー素子の採用で熱密度がさらに上昇 → PCBの熱設計がより重要になります。
まとめ(設計者視点)
日本CMKが車載向けビルドアップ基板で世界トップシェアを持つ理由は、 単なる企業規模ではなく、 車載向けの高信頼性要求を長年クリアしてきた実績と技術力 にあります。
設計者としては、
- 材料選定
- Via構造
- スタックアップ
- 熱設計
- EMC対策
これらを車載向け仕様に合わせて設計することが重要です。
車載向け基板は難易度が高いですが、 その分、設計者としての技術力が大きく伸びる領域でもあります。


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