AIサーバーの高性能化が進み、GPUの発熱は 600〜700W級 に達しています。 従来の空冷では限界が見え始め、液冷対応の多層基板設計 が急速に広がっています。
この記事では、液冷対応基板の構造・技術・採用動向を、2026年の最新情報を踏まえてわかりやすく解説します。
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液冷対応多層基板とは?
液冷対応多層基板とは、 液冷方式(DLC・液浸冷却)に最適化された高多層PCB のこと。
目的は、GPU・HBM・VRMなどの高発熱部品から発生する熱を、 冷却液で効率的に吸収・拡散する ことにあります。
なぜ液冷が必要なのか?
AIサーバーでは、
- GPU 1枚あたり 600〜700W級
- HBM搭載で発熱密度が急上昇
- PCIe Gen6・CXL対応で信号損失も増加
これらにより、空冷では冷却限界が明確になっています。
空冷の限界
空冷は 20〜40kWラック が限界。 AIサーバーは 100〜480kWラック が一般化しつつあり、液冷が必須。
高密度GPUの発熱
GPU密度が上がるほど、局所発熱が増加。
● HBM搭載GPUの温度管理
HBMは温度に敏感で、冷却性能が性能に直結。
液冷方式の種類(2026年の主流)
液冷対応基板を理解するには、液冷方式の違いが重要です。
DLC(Direct Liquid Cooling)※現在の主流
- 冷却プレートを基板上に密着
- 冷却液がプレート内部を循環
- GPU・HBMの直下を効率的に冷却
- 2026年の液冷サーバーの大半がこの方式
液浸冷却(Immersion Cooling)
- サーバー全体を冷却液に沈める方式
- NTT・クォンタムメッシュなどが実証中
- データセンターの省エネ効果が高い
マイクロチャンネル型PCB(研究段階)※重要補足
あなたの記事にもあった「基板内部に液路を作る方式」は、 2026年時点では 研究段階〜一部試作レベル に留まっています。
- PCB内部に微細流路(0.3〜0.5mm)を形成
- 液を直接流して冷却
- 高効率だが、量産性・封止信頼性が課題
- 現時点では 主流ではない
▶ 主流は「基板内部」ではなく「冷却プレート(DLC)」方式 → ここがファクトチェックで最も重要なポイント。
液冷対応基板の構造(DLC前提)
液冷対応多層基板は、以下のような構造を持ちます。
| 層構成 | 機能 |
|---|---|
| 表層 | 部品実装・熱伝導層 |
| 中間層 | 電源層・GND層・信号層 |
| 内層 | 熱拡散層(銅厚70〜105μm) |
| 裏面 | 冷却プレート(DLC)接合部 |
冷却プレート内部を冷却液が流れ、 基板側の銅層・熱ビアを介して熱を吸収します。
採用される主要技術
① 高熱伝導材料
- 銅厚:70〜105μm
- 樹脂:高熱伝導率タイプ(>2.0 W/m·K)
- Panasonic・Shengyi・Isolaが新材料を発表
② Thermal Via(熱ビア)
- 多層に配置し、熱を垂直方向に逃がす
- GPU・HBM直下に高密度配置
③ 熱拡散層(Heat Spreader Layer)
- 内層に銅を厚く配置
- 温度ムラを抑制
④ 冷却プレート一体化(DLC)
- アルミ・銅プレートを基板裏面に密着
- 液路はプレート側に形成(主流)
液冷対応基板のメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 冷却性能 | 空冷比で最大 2〜3倍 の熱除去効率 |
| 実装密度 | 高発熱部品を近接配置可能 |
| 信号品質 | 温度安定により伝送損失が減少 |
| 信頼性 | 熱ストレス低減で寿命延長 |
課題と今後の展望
● 製造難易度
熱ビア・厚銅層・プレート接合など工程が複雑。
● コスト増
液冷対応で基板コストは 1.5〜2倍 に上昇。
● メンテナンス性
冷却液の漏れ検知・交換が必要。
● マイクロチャンネル型PCBは量産課題が残る
封止信頼性・歩留まりが課題。
主な採用動向(2026年時点)
- 北米・台湾のサーバーメーカーが DLC対応GPUモジュール基板 を量産
- 日本メーカーは 熱拡散層内蔵型PCB を試作
- NTT・クォンタムメッシュが液浸冷却の実証を拡大
- ニデックが水冷ラックを商用展開
→ 2027年には、AIサーバーの約 30%が液冷対応基板を採用 すると予測。
まとめ
液冷対応多層基板は、 AIサーバーの発熱問題を根本から解決する次世代技術。
2026年時点の主流は 冷却プレートを使うDLC方式 であり、 基板内部に液路を作る方式は 研究段階 にあります。
高密度・高発熱・高速信号という三重課題を、 液冷構造と多層設計の融合 で乗り越える時代が来ています。

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