2026年のプリント基板(PCB)業界は、AIサーバー需要の爆発だけでなく、 EV(電気自動車)・5G/6G通信・フレキシブル基板・HDI基板といった複数の成長要因が同時進行で拡大しています。
この記事では、業界統計・メーカー資料・市場調査レポートをもとに、 2026〜2035年に向けた「次の成長領域」を整理します。
■ 世界のPCB市場は2026年に約836億ドル規模へ成長
世界市場は2025年802億ドル → 2026年836億ドルへ拡大し、 2035年には1,378億ドル(CAGR 5.7%)に達する見通しです。 (出典:Prismark、JPCA、MarketsandMarkets)
成長を牽引するのは以下の4分野:
- AIサーバー・データセンター
- 電気自動車(EV)・車載電子
- 5G/6G通信インフラ
- フレキシブル基板・HDI基板の高度化
■ 1. AIサーバー需要の急増:40〜60層基板が標準に
AIサーバーはGPUを8〜16基搭載し、 40〜60層のバックプレーン基板を必要とします。 (出典:NVIDIA HGX H100、Broadcom Tomahawk 5仕様)
- スマホ基板(8層)の約4倍の価格
- 75μm未満のマイクロビア
- レーザー積層ビア
- 埋め込みサーマルビア(液冷対応)
AIサーバー1台あたりのPCB単価は200ドル超とされ、 従来サーバーの50ドルを大きく上回ります。
→ AIサーバーはPCB業界の“超高付加価値”領域として今後も拡大。
■ 2. EV(電気自動車)向けPCBの急成長
EVはインバータ、充電器、BMSなどに大量のPCBを使用し、 1台あたり150〜200ドル相当の基板が搭載されます。 (出典:IATF16949認証車載基板メーカー資料)
特にSiCパワーモジュールでは:
- 260°C以上のガラス転移温度(ポリイミド/セラミック基板)
- 210μm厚の銅箔
- 高耐熱・高信頼性材料が必須
自動車グレード要求により、 高信頼性基板メーカーの価格決定力が上昇しています。
■ 3. 5G/6G通信インフラ:超低損失材料の需要が急増
5G基地局・アンテナ・高速ネットワーク機器では、 高周波・低損失材料(超低Dk/Df)の採用が加速。 (出典:Rogers、Isola、Panasonic Megtronシリーズ)
- 112Gbps/レーンの高速伝送
- 800Gbps〜1.6Tbps光通信への移行
- 超低損失基板のシェア拡大
→ ロジャース系材料や高周波向けCCLの需要が継続的に増加。
■ 4. フレキシブル基板(FPC)とHDI基板が急成長
● 世界のフレキシブル基板市場
2024年:128.5億ドル → 2030年:246.5億ドル(ほぼ倍増) (出典:ResearchAndMarkets)
● 日本国内でもFPCが急伸
2024年7月の日本のFPC生産額は前年比13.8%増(JEITA統計)。
背景:
- ウェアラブル機器
- IoTデバイス
- 軽量自動車モジュール
- 折りたたみスマホ(Galaxy Zシリーズは1台にFPC3枚以上)
● HDI基板の需要増
- 小型化
- 高速信号
- 多カメラアレイ対応(75µm線幅)
■ 日本市場の特徴:2034年に61億ドル規模へ
日本のPCB市場は2025年45億ドル → 2034年61億ドルへ成長。 (出典:JEITA、経産省電子情報産業統計)
特徴:
- 高密度・高信頼性基板に強み
- フレキシブル・HDIの採用が急増
- 環境規制対応・省エネ製造への投資が進む
■ 原材料リスク:銅・エポキシ樹脂の価格変動が継続
● 銅価格
2024〜2025年にかけて 8,200ドル → 10,500ドル/トンの間で大きく変動(LMEデータ)。
● エポキシ樹脂
台湾工場火災により供給が逼迫し、価格が急騰。 (出典:台湾樹脂メーカー報告)
→ 材料価格の変動は2026年以降も業界の不安定要因。
■ まとめ:2026年以降のPCB業界は“多軸成長”へ
| 成長領域 | 根拠 |
|---|---|
| AIサーバー | 40〜60層基板・高単価・需要急増 |
| EV | 車載電子の高信頼性要求・高耐熱材料 |
| 5G/6G | 超低損失材料の採用拡大 |
| FPC/HDI | 小型化・ウェアラブル・折りたたみ端末需要 |
2026年のPCB業界は、単一トレンドではなく、 複数の巨大市場が同時に成長する“多軸成長フェーズ”に突入しています。


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