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試作基板と量産基板の違いとは?設計から量産までの流れと失敗例

プリント基板
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基板設計では、「試作基板」と「量産基板」という言葉が当たり前のように使われます。
しかし、両者の違いを十分に理解しないまま作業を進めると、量産段階で思わぬトラブルにつながることがあります。

試作では問題なく動作していたにもかかわらず、
量産に入ってから品質・コスト・製造面で課題が表面化するケースは少なくありません。

この記事では、試作基板と量産基板の違いを整理し、
設計から製造までの流れと、実務で起こりやすい失敗例を交えながら解説します。


  1. 試作基板と量産基板の違いとは?
    1. 混同されやすいポイント
    2. 「試作=完成」ではない理由
  2. 試作基板とは何か
    1. 試作基板の目的
    2. 試作基板の特徴(数量・コスト・考え方)
    3. 試作基板で確認すべきこと
  3. 量産基板とは何か
    1. 量産基板の目的
    2. 量産基板の特徴(品質・コスト・再現性)
    3. 量産で重視されるポイント
  4. 試作基板から量産基板までの基本的な流れ
    1. 試作基板の設計・製造・評価
    2. 設計修正と設計凍結
    3. 量産基板の発注・製造・検査
  5. 試作基板と量産基板で変わるチェックポイント
    1. 設計面での違い
    2. 製造・実装面での違い
    3. 検査方法の違い
  6. 試作基板から量産基板でよくある失敗例
    1. 失敗例① 基板仕様を量産で変更してしまう
    2. 失敗例② 試作は手実装、量産は自動実装だった
    3. 失敗例③ 動作マージンが小さいまま量産に進んだ
    4. 失敗例④ 検査方法を考慮せずに量産した
    5. 失敗例⑤ 試作段階で完成と判断してしまった
    6. 失敗例⑥ 表面処理の指示ミス(無鉛/有鉛はんだレベラー)
  7. まとめ
  8. 付録:試作基板から量産基板へ進む前のチェックリスト
    1. ① 設計・回路面のチェック
    2. ② 部品配置・実装面のチェック
    3. ③ 基板仕様のチェック
    4. ④ 表面処理・製造条件のチェック
    5. ⑤ 検査・評価のチェック
    6. ⑥ 発注・指示書まわりのチェック
  9. チェックリストの使い方(補足)
    1. 関連

試作基板と量産基板の違いとは?

混同されやすいポイント

試作基板と量産基板は、回路や基板形状が同じであることも多いため、
「同じものを作っている」と捉えられがちです。

しかし実際には、目的と重視するポイントが異なります


「試作=完成」ではない理由

試作基板は、設計内容が正しいかどうかを確認するためのものです。

  • 回路が意図どおり動作するか
  • 部品配置や配線に無理がないか
  • 修正すべき点が残っていないか

これらを確認する工程であり、完成形ではありません。


試作基板とは何か

試作基板の目的

試作基板の目的は、
設計した回路・基板を実物で検証することです。

シミュレーションや設計レビューだけでは見つからない問題を洗い出します。


試作基板の特徴(数量・コスト・考え方)

  • 小ロット(数枚〜十数枚程度)
  • コストよりも確認作業を優先
  • 設計変更が前提
  • 納期重視になることが多い

試作では、「まず確認する」ことが最優先になります。


試作基板で確認すべきこと

  • 基本動作の確認
  • 部品の向き・極性
  • パターン・配線の妥当性
  • 実装・修正のしやすさ

ここでの確認不足は、後工程に影響します。


量産基板とは何か

量産基板の目的

量産基板は、
製品として安定して供給するための基板です。

動作だけでなく、品質のばらつきやコストも考慮します。


量産基板の特徴(品質・コスト・再現性)

  • 大量生産(数百〜数万枚)
  • コスト最適化が重要
  • 製造・検査工程の標準化
  • 不良率(歩留まり)を意識した設計

設計の再現性が強く求められます。


量産で重視されるポイント

  • 安定した動作マージン
  • 製造・実装のしやすさ
  • 検査工程への配慮
  • 仕様の明確さ

設計内容が、製造現場に正確に伝わることが重要です。


試作基板から量産基板までの基本的な流れ

試作基板の設計・製造・評価

  1. 回路設計・基板設計
  2. 試作基板の製造
  3. 実装・評価
  4. 問題点の洗い出し

不具合があれば、設計を修正します。


設計修正と設計凍結

試作結果を反映し、設計を修正します。
問題が解消された段階で、設計を確定(設計凍結)します。


量産基板の発注・製造・検査

  • 製造仕様の確定
  • 発注書・仕様書の作成
  • 製造・実装
  • 各種検査

量産では、事前準備の完成度が品質に直結します。


試作基板と量産基板で変わるチェックポイント

設計面での違い

  • 試作:動作確認が主目的
  • 量産:安定性・再現性を重視

製造・実装面での違い

  • 試作:手作業での実装が多い
  • 量産:自動実装を前提

部品配置やフットプリント設計の考え方が変わります。


検査方法の違い

  • 試作:目視や簡易確認
  • 量産:自動検査・工程検査

検査を想定した設計が必要になります。


試作基板から量産基板でよくある失敗例

失敗例① 基板仕様を量産で変更してしまう

試作時と量産時で、材料や板厚を変更し問題が発生するケースです。


失敗例② 試作は手実装、量産は自動実装だった

実装方法の違いが、不良につながることがあります。


失敗例③ 動作マージンが小さいまま量産に進んだ

環境差や部品ばらつきで不具合が発生します。


失敗例④ 検査方法を考慮せずに量産した

後から検査工程を追加できず、コスト増になる場合があります。


失敗例⑤ 試作段階で完成と判断してしまった

試作は確認工程であり、最終形ではありません。


失敗例⑥ 表面処理の指示ミス(無鉛/有鉛はんだレベラー)

本来は無鉛はんだレベラー指定だったにもかかわらず、
有鉛はんだレベラーで製造してしまったケースです。

  • 発注書への記載漏れ
  • 「HASL」とだけ指定
  • 製造業者の標準仕様に任せた

表面処理は重要な仕様項目です。
ガーバーデータだけでなく、発注書や仕様書にも明記する必要があります。


まとめ

  • 試作基板は設計確認のための工程
  • 量産基板は安定供給を目的とした工程
  • 両者は目的・考え方・確認ポイントが異なる
  • 仕様の指示ミスは量産トラブルにつながりやすい

試作から量産への移行は、
設計を完成させるための重要なプロセスです。


付録:試作基板から量産基板へ進む前のチェックリスト

以下は、試作完了後〜量産発注前に確認しておきたい項目です。
すべてを一度に完璧に満たす必要はありませんが、
「確認したかどうか」だけでもチェックすることで、トラブルを減らせます。


① 設計・回路面のチェック

  • □ 試作基板で想定どおりの動作を確認できている
  • □ 温度・電圧など、最低限の動作マージンを確認した
  • □ 部品の型番・代替品の可否を整理している
  • □ 回路変更点がすべて設計データに反映されている

② 部品配置・実装面のチェック

  • □ 自動実装を前提とした部品間隔になっている
  • □ 極性・向きが分かりにくい部品にシルク表示がある
  • □ 実装機で対応できない特殊部品がない
  • □ 手修正が前提の配置になっていない

③ 基板仕様のチェック

  • □ 板厚・層数・材料が明確に決まっている
  • □ 試作と量産で基板仕様を変えていない(または把握している)
  • □ 外形寸法・公差を確認した
  • □ 面付け条件を確認した

④ 表面処理・製造条件のチェック

  • □ 表面処理を具体的に指定している
    • 例:無鉛はんだレベラー/有鉛はんだレベラー/ENIG
  • □ 「HASL」など曖昧な表記になっていない
  • □ 過去実績がある仕様かどうか確認した

⑤ 検査・評価のチェック

  • □ 量産時の検査方法を想定している
  • □ テストポイントが確保されている
  • □ 検査できない信号・回路がない
  • □ 試作時と量産時で検査レベルの違いを理解している

⑥ 発注・指示書まわりのチェック

  • □ ガーバーデータと発注書の内容が一致している
  • □ 仕様(表面処理・板厚など)を発注書に明記している
  • □ 「前回同様」などの曖昧な指示をしていない
  • □ 製造業者からの確認事項にすべて回答している

チェックリストの使い方(補足)

  • すべて「○」である必要はありません
  • 「未確認」が残っていないかを重視します
  • 試作のたびにこのチェックリストを使うと、
    量産移行時の見落としを減らせます

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