SIシミュレーションで波形をとりながら、プリント基板の設計を行うことがあります。
SIシミュレーションに多くのパワーを奪われて、プリント基板の設計が進まないという状況になりがちです。
SIシミュレーションの経験数も少なく、電子回路知識も豊富ではないので解析スキルが低く、辛さを感じることもあります。
本記事も、現時点での知識の中で書いていますので、知識以上の言葉は出てきません。
言葉が足りなかったり間違えていたりするかもしれません。
後で読み返して、おかしいところがあったら修正しつつ完成度を挙げていきたいと思います。
SIシミュレーションとは
SIシミュレーションのSIはシグナル・インテグリティ(Signal Integrity)を略したもので、プリント基板のパターンに流れる信号の品質のこと。
デジタル回路が高速化すればするほど、ドライブするICからレシーブするICまで電気信号を正しく伝送することが難しくなります。
SIシミュレーションを行うようになり、わかった事ですが配線長が短いパターンの波形は乱れが少ないという事を実感しています。
SIシミュレーションをして波形を解析してベストな状態へ導くのがSIシミュレーションになります。
SIシミュレーションの前準備
・SIシミュレーションするネットを決定する
SIシミュレーション対象のネットを洗い出します。
・SIシミュレーション対象のネットに接続する部品を調べる。
SIシミュレーション対象の部品のメーカー型式名を洗い出す作業になります。
・SIシミュレーション対象ネットに繋がる部品のシミュレーションモデルとデータシートを集める。
SIシミュレーションで使用するソフトによってモデルが異なります。SIシミュレーションソフトが対応しているシミュレーションモデルをメーカーサイトから入手します。
無い場合は設計依頼元に請求します。合わせて、部品のスペックを知る為にデータシートも同時に入手します。
・部品個々の絶対定格をピックアップする。
全てのデータシートに記載があるわけではありませんが、データシートからVIH・VIL、+Vin・-Vin、セットアップタイム・ホールドタイム、立ち上がりの時間・立ち下がりの時間、Highレベルの時間幅・Lowレベルの時間幅、オーバーシュート電圧やアンダーシュート電圧などの情報を抜粋する。
・動作周波数を調べる
ベースクロックの周波数でなく、実際にデータをやりとりする時の動作周波数を調べます。動作周波数がSI解析時に入力する周波数になります。
・基板の層構成の詳細を調べる
基板業者から層構成の詳細資料を入手します。
・伝送線路 特性インピーダンスの調整が必要な場合は伝送線路 特性インピーダンス値を決めます。
特性インピーダンス値は、ほぼデータシートに記載がありますので参考にします。
SIシミュレーション
SIシミュレーションには、プリシミュレーションとポストシミュレーションがあります。
プリシミュレーションとポストシミュレーションは、PCB設計においてそれぞれ異なる役割を果たします。
プリシミュレーションは設計の初期段階での問題発見と最適化を目的とし、ポストシミュレーションは完成した設計の検証と問題解決を目的とします。
両者を効果的に活用することで、信号の整合性を保った基板設計を実現することができます。
プリシミュレーション
プリシミュレーションは、PCBの設計プロセスの初期段階で行われるシミュレーションです。この段階では、回路図の設計や基板のレイアウトが完成する前に、信号の整合性や配線のトポロジーを評価します。主な目的は、設計の初期段階で問題を特定し、設計ルールを確立することです。
主な機能
- トポロジーの最適化: 配線経路や長さ、分岐位置を検討し、最適な配線方法を決定します。
- 終端条件の最適化: 信号の反射を防ぐための終端抵抗の選定を行います。
- ドライバー能力の評価: ドライバーの能力を考慮し、適切な部品を選定します。
プリシミュレーションは、設計の柔軟性を保ちながら、早期に問題を発見し、設計の方向性を決定するために重要です。
ポストシミュレーション
ポストシミュレーションは、PCBのレイアウトが完成した後に行われるシミュレーションです。この段階では、実際の基板レイアウトに基づいて信号の整合性や性能を確認します。主な目的は、設計が最初に設定した基準を満たしているかどうかを検証することです。
主な機能
- 詳細な解析: 実際の配線長や部品配置を考慮した詳細なシミュレーションを行い、EMI(電磁干渉)や熱解析を実施します。
- 問題の特定: プロトタイプで発生した問題を解析し、原因を特定します。
- 設計の検証: プリシミュレーションで設定した設計基準に対する遵守を確認します。
ポストシミュレーションは、設計の最終段階での高精度な検証を提供し、実際の動作条件下での問題を特定するために不可欠です。
SI解析をすると、その回路ブロックだけの設計に時間を奪われてしまうので、基板内のシミュレーションを必要としない回路は別のものが基板設計をします。
まとめ
SIシミュレーションで波形をとりながら、プリント基板の設計を行うことがあることを紹介しました。
まだまだSIシミュレーションの経験が浅いため、時間がかかってしまっていますが経験を積んで自分のスキルにしたいと考えます。
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