基板設計の現場では、用語は知っていても「どこまで自分が設計判断すべきか」が曖昧なまま作業してしまうことがあります。
その結果、
- レビューで指摘される
- 手戻りが発生する
- 設計意図を説明できない
といった問題につながります。
本記事では、基板設計(PCBレイアウト)に直接関係する専門用語に絞り、
設計判断・CAD操作・レビュー視点を中心に整理します。
製造・実装用語は、設計判断に関係する範囲のみに限定しています。
本用語集の前提
- 回路設計用語は最小限
- 製造・実装用語は設計判断に関係する場合のみ
- CADツール依存の違いは断定しない
回路・接続・信号に関する用語
ネット(Net)
電気的に接続される信号の単位。
→ 設計判断:ネット誤認は致命的。レビュー最優先確認項目。
ネットラベル
ネットに付与する名前。
→ 判断:同名による意図しない接続に注意。
ネットクラス
特定ネットにルールをまとめて適用する仕組み。
→ 判断:高速信号や電源系は必ず分離管理。
差動ペア
+/−2本で構成される信号。
→ 判断:長さ差・間隔管理が信号品質に直結。
フローティング
未接続状態の端子・ネット。
→ 判断:ERC警告を無視してよいか説明できること。
電源ネット
電源供給用ネット。
→ 判断:信号系と異なるルールを適用。
レイヤ・構造に関する用語
レイヤ(Layer)
CAD上で管理される層の概念。
→ 判断:論理層と物理層の違いを理解。
信号層
信号配線を行う層。
→ 判断:外層/内層で制約が変わる。
GNDプレーン
基準電位層。
→ 判断:分断はリターンパス問題を生む。
電源層
電源供給用層。
→ 判断:全面プレーンか部分配線かは設計思想。
メカ層
外形・加工指示などを記載する層。
→ 判断:用途を事前に定義。
シルク層
部品番号や極性表示層。
→ 判断:消えて困らない情報に限定。
外形層
基板形状を定義する層。
→ 判断:正式外形を明確にする。
配線・形状に関する用語
トラック
信号配線。
→ 判断:線幅変更には必ず意図を持つ。
線幅
配線の太さ。
→ 判断:電流容量・インピーダンスに影響。
クリアランス
導体間最小間隔。
→ 判断:DRC値=製造限界ではない。
パッド
接続部。
→ 判断:サイズは実装信頼性に直結。
ビア
層間接続穴。
→ 判断:種類指定を曖昧にしない。
ポリゴン
面状配線。
→ 判断:孤立銅や分断を確認。
ティアドロップ
接続部補強形状。
→ 判断:設計ポリシーとして統一。
スロット
基板内切り欠き。
→ 判断:加工制約を考慮。
設計ルール・チェック関連
デザインルール
設計制約条件。
→ 判断:社内基準と製造条件を分離。
DRC
設計ルールチェック。
→ 判断:「なぜOKか」を説明できること。
ERC
電気整合性チェック。
→ 判断:無視可能な警告と危険警告を区別。
最小線幅/最小クリアランス
設計許容値。
→ 判断:CAD初期値を鵜呑みにしない。
高速・品質設計に関する用語
インピーダンス制御
信号特性を一定に保つ設計。
→ 判断:スタックアップ前提で決まる。
配線長マッチング
信号到達時間を揃える設計。
→ 判断:必要箇所に限定。
スタブ
信号の枝残り。
→ 判断:高速信号では排除。
リターンパス
信号の戻り経路。
→ 判断:GND設計の最重要項目。
分割プレーン
電源・GNDを分離した構造。
→ 判断:電流経路を意識。
部品配置・実装意識の用語
フットプリント
部品の基板形状定義。
→ 判断:設計品質を左右。
部品配置
部品を置く設計行為。
→ 判断:配線性・ノイズ・実装性すべてに影響。
マウント禁止エリア
部品非配置領域。
→ 判断:機構干渉を防ぐ。
フィデューシャル
実装補正マーク。
→ 判断:配置段階で考慮。
設計データ管理関連
出図
設計データを外部に渡す行為。
→ 判断:確定範囲を明確に。
修正履歴
変更記録。
→ 判断:トラブル時の根拠。
設計意図
設計理由の言語化。
→ 判断:レビュー効率が上がる。
設計マージン
余裕設計。
→ 判断:詰めすぎない勇気も必要。
まとめ
基板設計に必要な専門用語は、
単なる知識ではなく「設計判断のための道具」です。
- 用語を説明できるか
- 判断理由を言語化できるか
- レビューで使えるか
この3点を満たせば、手戻りは確実に減ります。
本用語集が、ご自身の設計ルールやチェックリストを見直すきっかけになれば幸いです。

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