基板認識マーク(フィデューシャルマーク)は、プリント基板(PCB)設計において不可欠な要素の一つです。
基板認識マークは、表面実装技術(SMT)を用いた部品実装時に、実装機が基板の正確な位置を把握するために使用されます。
適切な配置と設計が求められるため、その配置ルールや役割について詳しく解説します。
基板認識マークの役割
基板認識マークは、主に以下の目的で使用されます。
- 位置認識: 実装機が基板の正確な位置を把握し、部品を正確に配置するために必要です。
- 誤認識防止: 認識マークの配置を工夫することで、基板が180度回転して投入された場合でも誤認識を防ぎます。
配置のポイント

基板認識マークの配置にはいくつかの重要なポイントがあります:
- 非対称配置: 認識マークは基板の対角に配置されますが、基板端からの距離が同じにならないようにします。これにより、マウンタが基板を誤って認識するリスクを減少させます。
- 距離の調整: 例えば、一つの認識マークを基板端から5mmの位置に、もう一つを10mmの位置に配置することで、マウンタが基板を正しく認識できるようにします。
- 形状の工夫: 認識マークの形状や大きさを変えることも有効です。異なる形状(円形や四角形など)を使用することで、マウンタが基板の表裏を正しく認識できるようになります。
トラブル回避のための設計
基板認識マークの設計には、以下のようなトラブル回避のための工夫が求められます。
- ガードパターンの設置: 認識マークの周囲にガードパターンやシルク印刷によるガードを設けることで、エッチング工程や実装工程でマークが消失するのを防ぎます。これにより、マウンタが認識マークを正確に認識できるようになります。
- 複数のマーク配置: 基板の四隅に非対称に複数の認識マークを配置することで、搬送方向の間違いを検出できるようにします。三隅であればそのままで非対称です。
基板認識マークの形状の種類
- 円形マーク: 最も一般的な形状で、認識精度が高く、実装機が容易に認識できます。円形は、回転方向に依存しないため、基板が180度回転しても問題なく認識されます。
- 四角形マーク: 円形と同様に、四角形も広く使用されます。特に、特定のデザイン要件やスペースの制約がある場合に選ばれることがあります。
- カスタム形状: 特定の用途やデザインに応じて、独自の形状を持つ認識マークも設計されることがあります。これにより、特定の機器やプロセスに最適化された認識が可能になります。
- ガードパターン付きマーク: 認識マークの周囲にガードパターンやシルク印刷によるガードを設けることで、エッチング工程や実装工程での消失を防ぎます。これにより、認識マークが常に明確に認識されるように保護されます。
形状選定のポイント
- 視認性: 認識マークは、周囲のパターンと明確に区別できるように設計される必要があります。コントラストが高いことが重要です。
- サイズ: 認識マークのサイズは、実装機のカメラが正確に認識できる大きさである必要があります。一般的には、直径1mm程度のサイズが推奨されます。
- 配置: 認識マークは、基板の対角に非対称に配置することが望ましいです。これにより、基板が誤って回転して投入された場合でも、正しく認識される可能性が高まります。
基板認識マークの形状や配置は、製造プロセスの効率や品質に直接影響を与えるため、設計段階で慎重に考慮することが重要です。
円形マークと四角形マークは、プリント基板(PCB)における認識マークの代表的な形状であり、それぞれに特有の利点があります。
円形マークの利点
- 回転耐性: 円形マークは、基板が180度回転しても同じように認識されるため、実装機が誤認識するリスクが低くなります。これにより、基板の向きに依存せず、安定した認識が可能です。
- 製造の柔軟性: 円形は製造プロセスにおいても扱いやすく、エッチングや印刷の工程で均一な品質を保ちやすい形状です。
- 高いコントラスト: 円形マークは、周囲のパターンとのコントラストを高めやすく、実装機のカメラが認識しやすくなります。特に、黒白画像で読み取る実装機においては、コントラストが重要です。
四角形マークの利点
- スペースの効率的利用: 四角形マークは、特定のデザイン要件やスペースの制約がある場合に適しています。特に、狭いエリアに配置する際に有利です。
- 明確な位置決め: 四角形は、基板上での位置決めが明確で、特に複数のマークを配置する際に、視覚的に区別しやすいという利点があります。
- 特定のデザイン要件への適応: 四角形マークは、特定の部品や回路パターンに合わせて設計しやすく、特定の用途に応じたカスタマイズが可能です。
読み取りプロセス
- カメラによる撮像: 自動実装機には基板認識用のカメラが搭載されており、基板上の認識マークを撮像します。このカメラは、基板が搬送される際に、マークの位置を順次読み取ります。
- 画像処理: 撮像された画像は、画像処理手段によって解析され、マークの位置が特定されます。この処理により、基板の正確な位置が計算され、部品の実装位置が補正されます。
- 移動経路の最適化: 認識マークの位置に基づいて、カメラの移動経路が最適化されます。これにより、マークの撮像にかかる時間が短縮され、効率的な実装が可能になります。
- エラー検出: 認識マークが正しく読み取れない場合、実装機はエラーを検出し、作業を停止します。これにより、誤った部品配置を未然に防ぐことができます。
自動実装機は基板認識マーク(フィデューシャルマーク)を利用して、プリント基板(PCB)の位置を正確に読み取ります。このプロセスは、基板の正確な配置と部品の正しい実装を確保するために不可欠です。
まとめ
自動実装機は、基板認識マークを利用して基板の位置を正確に読み取り、部品を正しい位置に配置するための重要な役割を果たしています。
非対称に配置することや、形状を工夫することで、誤認識を防ぎ、製造工程のトラブルを回避することができます。これらの設計ポイントを考慮することで、基板の品質を向上させることが可能です。
基板認識マーク(フィデューシャルマーク)は、プリント基板(PCB)の設計において重要な役割を果たします。これらのマークは、主に自動実装機が基板の位置を正確に認識するために使用されます。
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