SIシミュレーションで波形を確認しながら、プリント基板を設計することがあります。
ただ、これがなかなか大変で…。一度シミュレーションを始めると、つい細かい波形の変化が気になってしまい、気づけば半日経っていることもあります。肝心の基板設計が後回しになってしまう、なんてこともしょっちゅうです。
私の場合、SIシミュレーションの経験はまだ少なく、電子回路の知識も豊富とは言えません。解析画面を前に「これ、何が原因だろう…?」と首をかしげながら進めることも多いです。
そんな時は、正直ちょっと気持ちが折れそうになります。
この記事も、現時点での自分の知識をもとに書いています。難しいことは書けませんし、言葉が足りなかったり間違っていたりするかもしれません。
それでも、少しずつ振り返りながら修正して、完成度を上げていきたいと思っています。
SIシミュレーションとは
SIシミュレーションの「SI」は、シグナル・インテグリティ(Signal Integrity)の略で、プリント基板のパターンを流れる信号の品質を指します。
デジタル回路が高速化するほど、ドライバーICからレシーバーICまで信号を正しく伝えるのが難しくなります。
実際にやってみて驚いたのは、配線長が短いほど波形の乱れが少ないことです。あるとき、ほんの数ミリ配線を短くしただけで、波形がぐっと安定したことがありました。
その瞬間、「あ、これがSIシミュレーションの面白さかも」と感じたのを覚えています。
SIシミュレーションの準備手順
- 対象ネットの選定
まず、シミュレーションするネットを決めます。最初は全部やりたくなりますが、経験上、的を絞った方が効率的です。 - 接続部品の確認
対象ネットにつながる部品のメーカーや型式を調べます。型番探しは地味ですが、ここで手を抜くと後で痛い目に…。 - シミュレーションモデルとデータシートの入手
使用ソフトに対応したモデルをメーカーサイトから探します。以前、見つからなくて設計依頼元にお願いしたら、「もう手元にありますよ」と即日送ってもらえたことも。最初から聞けばよかった…と反省しました。 - 絶対定格のピックアップ
VIH・VIL、+Vin・-Vin、セットアップ/ホールドタイムなどを抜き出します。これは地味ですが、後でトラブルを防ぐための大切な作業です。 - 動作周波数の確認
ベースクロックではなく、実際にデータをやり取りするときの周波数を調べます。ここを間違えると解析結果が全く違うものになってしまいます。 - 基板の層構成資料の入手
基板メーカーから層構成の詳細資料をもらいます。特性インピーダンス調整が必要な場合もあるので、この情報は欠かせません。
プリシミュレーションとポストシミュレーション
プリシミュレーションは、回路図やレイアウトが固まる前に行います。以前、ここで終端抵抗の値を変更したおかげで、後のトラブルを未然に防げたことがありました。設計初期の一手間が、本当に効いてきます。
ポストシミュレーションは、完成したレイアウトで実施します。プロトタイプで発生した波形の乱れを解析して原因を特定したこともあります。机上だけではわからない“現場感”が身につく瞬間です。
両方を使い分けることで、信号品質を保った設計が可能になります。
まとめ
SIシミュレーションは、確かに手間も時間もかかります。でも、その過程で得られる気づきや改善の結果、波形が良くなった時の喜びは、やってみないとわからない魅力があります。
まだまだ経験は浅いですが、試行錯誤を繰り返す中で、少しずつ自分なりの進め方やコツも見えてきました。これからも「失敗も含めて経験」と思って取り組んでいきたいです。
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