プリント基板の設計は、ただ回路をつなげば終わりではありません。
動作周波数が低かった昔なら、それでも問題なく動くことが多かったかもしれません。
しかし、今は違います。信号の速度やノイズ、安定性まで考えなければ、思わぬ不具合が発生することもあります。
私自身、設計を続ける中で「配線パターンの仕上がりは、自分の知識を超えることはない」という現実を痛感してきました。
今回は、その気づきと、知識が設計に与える影響についてお話しします。
PR

知識以上の仕上がりにはならない理由
プリント基板の設計をしていると、配線パターンの完成度は自分の知識以上にはならないと感じることが多いです。
昔は動作周波数も低く、「デジタル回路はとにかくつながっていれば大丈夫」という時代がありました。
20世紀ごろのことです。
当時の考え方と現在の変化
当時の私は、「電子回路を知らないほうが、しがらみにとらわれず良いパターンが描ける」という考えを持っていました。
ところが今は、デジタル回路の動作周波数が高くなり、ただつながっているだけでは正しく動作しないことも増えてきました。
クロック信号やリセット信号、通信関係の信号などに注意を払うようになると、回路の知識があるほうが圧倒的に有利だと気づきます。
回路知識を持つことの強み
むしろ、回路を知らないまま配線を引くことが恥ずかしく感じられるようになり、少しずつ勉強するようになりました。
とはいえ、掘り下げて深く学ぶというよりは、必要な部分を浅く知識として取り入れる程度です。
回路の知識があれば、これまでに経験して得たノウハウを活かして、「ここはこう配線したほうが良い」という判断をパターンに反映できます。
知識が増えれば増えるほど、プリント基板の設計の仕上がりも変わってきます。
知識の限界と改善の繰り返し
ただ、その出来栄えは自分の中にある知識以上にはなりません。
もちろん、知識を持っていても気づけないことはありますし、後で見直して改善点が見つかることもよくあります。
設計は同じ人でも仕上がりが変わる
また、同じ人が同じ基板を2回設計しても、全く同じ仕上がりにはなりません。
その時の感覚や気分によっても変わりますし、配線の基準となるグリッド設定が0.1mmや0.05mmと細かいため、ルートが微妙に変わってしまうのです。
設計にかける思い
プリント基板のレイアウト設計は、ゼロから形を作り上げる作業なので、意外とエネルギーを使います。
せっかく力を注ぐのなら、自分の持っている知識や経験を総動員して、できる限り良いものを作りたいといつも思っています。

まとめPR
プリント基板の配線パターンは、自分の持っている知識や経験の範囲を超えることはありません。
だからこそ、日々の設計で気づいたことや学んだことを少しずつ積み重ねることが大切です。
回路の仕組みを知ることで、より確実で安定した配線が可能になり、完成度も高まります。
同じ基板でも、その時の感覚や知識の引き出しによって仕上がりは変わります。
エネルギーを注ぐ作業だからこそ、自分の持てる力を最大限に活かして、より良いものを目指したい。
それが、設計者としてのやりがいにもつながります。
コメント