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ガーバーデータとは|フォーマット・Dコード・拡張子・見る方法のご紹介

プリント基板 基板設計
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この記事では、ガーバーデータとは・フォーマット・Dコード・拡張子・見る方法を紹介しています。

ガーバーデータは基板設計と基板製造の橋渡しをするデータです。

基板設計が完了すると、基板製作用データ・メタルマスク製作用データを出力しています。それ以外にも部品実装用データ・基板製作用の図面・メタルマスク製作用の図面を出力しています。

本記事では、基板製作とメタルマスク製作に必要なガーバーデータに焦点を当てて解説します。

ガーバーデータとは

プリント基板

プリント基板を作るときに欠かせないのが「ガーバーデータ」と呼ばれるデータです。

ガーバーデータのフォーマットにはいくつかの種類があって、それぞれ使い方や役割がちょっとずつ違います。

この記事では、初心者さんでもスッと理解できるように、ガーバーデータの基本から進化の歴史、設計や製造での役割まで順番に紹介していきますね。

まずは「そもそもガーバーデータってなに?」というところから一緒に見ていきましょう

ガーバーデータを一言でいうと「基板の配線や穴あけの指示が詰まったファイル」です。

フォーマットの名前の由来は、もともとこれを開発した「Gerber Systems社」というアメリカの会社からきています。

この会社が、NC(数値制御)機械用の制御言語「Gコード」をベースに、基板用に特化したフォーマットを開発したのが始まりなんです。

具体的には、銅パターン、ソルダーマスク、シルク印刷、ドリル穴など、基板の各レイヤーごとにファイルを作成して、それを製造工場に渡すという流れ。

ガーバーデータはASCII形式(テキストファイル)なので、パソコン上で直接中身を覗いたり編集することもできるんです。

例えば「RS-274D」は初期の形式で、後に改良された「RS-274X」はアパーチャ情報を含んでいます。

つまり、ガーバーデータは、基板の図面+必要な製造情報が詰まったファイルってことなんですね。

次は、そのフォーマットがどう進化してきたか?バージョンごとの違いを詳しく見ていきますよ!

ガーバーデータの規格

Gerber Systemsにより開発され1979年に米国電子工業会(EIA)でRS-274-Dとして規格となりました。日本では標準的に使われています。

ガーバーデータは、RS-274-D(標準ガーバーデータ)とRS-274X(拡張ガーバーデータ)という2種類のフォーマットがあります。

RS-274-D(標準ガーバーデータ)

RS-274-D(標準ガーバーフォーマット)は、座標のデータしか持っていません。Dコードと設定は別ファイルにまとめて記載する構成になっています。

又、面を描くことが出来ないので、線データを重ねて描きます。ですのでデータ量が大きくなるのも欠点になります。

RS-274-D(標準フォーマット)のガーバーデータをCADマシンに取り込む際には、単位、桁数、座標DDコードを別ファイルから抽出して前もって設定する事前準備が必要があります。

RS-274X(拡張ガーバーデータフォーマット)が普及するまでは、標準として使われていましたが、今現在では見かける事は少なくなりました。

RS-274-D(標準フォーマット)は旧版の為、推奨されていませんが古い基板の保存データなどで見かける事はあります。

RS-274-D(標準ガーバーデータ)のデメリット

ガーバーデータを取り込む際に、Dコードやパラメータを設定しないと取り込むことが出来ないので前準備に一手間かかります。

RS-274X(拡張ガーバーデータ)

RS-274X(拡張ガーバーフォーマット)はRS-274-D(標準フォーマット)の欠点を改良したフォーマットです。

ファイルのヘッダー部分に単位、桁数、座標の形態、Dコードを持つ1ファイル構成になっています。

又、形状をマクロ化して描くこともできます。CADによって対応しているマクロの違いによりと込めないことが時々あります。

RS-274X(拡張ガーバーフォーマット)をCADマシンに取り込む際には、標準ガーバーフォーマットを取り込む際に必要だった事前準備は不要になります。

取り込むファイルを指定するだけでガーバーデータを取り込むことが出来、ほとんどの場合問題なく取り込むことが出来ます。

現在、RS-274Xフォーマット(拡張ガーバーフォーマット)がPCB業界では一般的に使われていて、実際に業務でもRS-274Xフォーマット(拡張ガーバーフォーマット)でガーバー出力しています。

RS-274X(拡張ガーバーデータ)のデメリット

RS-274X(拡張ガーバーデータフォーマット)はマクロを使えるのですが、取り込むツールでサポートされていないマクロが使用されていた場合、取り込めないことが稀にあります。

RS-274-D(標準ガーバーデータ)とRS-274X(拡張ガーバー)の違い

標準ガーバーデータと拡張ガーバーデータの違いは、Dコードを含んでいるかどうかです。

結論からいうと、RS-274D → RS-274Xと、進化すると「ガーバーデータの情報量」と「製造のしやすさ」がグッと上がっています!

まずRS-274Dは、一番初期の「標準ガーバー」って呼ばれるフォーマットで、アパーチャ情報(どんなパッド形状か)が別ファイルになってて、扱いがちょっと面倒だったんですね。

そこで登場したのがRS-274X。これが「拡張ガーバー」と呼ばれるフォーマットで、アパーチャ情報もひとつのファイルにまとめられてて、製造側とのやりとりが一気にラクになったんです。

つまり、RS-274Dは“設計図”、RS-274Xは“取扱説明書つき設計図”って感じですね。

では次に、実際に設計ソフトで出力するときの注意点についてもチェックしてみましょう!

設計と製造での役割を詳しく紹介!

ガーバーデータは、基板設計ソフトから製造現場へとデータをつなぐ「橋渡し役」。
でもそのデータが間違っていたり、足りなかったりすると、基板が正しく作れないことも…。
このパートでは、設計ツールでの出力時に注意すべきポイントや、製造現場でのガーバーデータの使われ方をわかりやすく紹介します!

まずは、設計段階でよく使うEDAツールの出力時のコツから見ていきましょう!

EDAツールでの出力形式と注意点

ガーバーデータは、基板設計EDAツールから出力できます。
でもそのとき、ちょっとした設定ミスで製造トラブルになることもあるんです!

例えば、RS-274Xで出力するのが今の主流なんですが、ソフトによっては古いRS-274Dのままだったり、アパーチャ情報がうまく含まれてないこともあります。

特に「ドリルファイル」や「シルク層」が抜けてると、工場での作業がストップする原因にもなっちゃうんですね。

ガーバー出力の際はファイル名や拡張子がレイヤーと一致しているかも要チェック。また、出力後は「ガーバービューアー」で確認するのもめちゃくちゃ大事です!

製造トラブルを未然に防ぐためにも、出力形式や必要なファイルの確認は設計者の大事な仕事です。

次は、そのデータが実際に製造現場でどう使われているかを詳しく見ていきましょう!

製造現場での活用とよくあるトラブル

ガーバーデータは、設計者から製造現場に渡す「設計の完成図」みたいな役割を持っています。
でも、ちゃんと正しく作られていないと、現場で思わぬトラブルになることもあるんです。

たとえば、レイヤーごとのファイル名があいまいだったり、アパーチャ情報が抜けていたりすると、どの層にどのパターンがあるのか分からなくなってしまいます。
製造側の人が何度も問い合わせしなきゃいけなくなって、納期遅れにつながるケースも…。

また、CAD側で細かいパッドや塗り潰しを「塗り(painting)」で表現していると、データ容量が大きくなって処理に時間がかかったり、場合によっては加工機でエラーになることも。

つまり、設計者は“作れるデータ”を届ける意識がめちゃ大事なんです!
次は、フォーマットごとの使い分けのコツについて見ていきましょう♪

フォーマット別の使い分けポイントとは?

ガーバーデータにはRS-274D・X・X2・X3などいろんな種類がありますが、
「結局どれを使えばいいの?」って迷っちゃいますよね。
ここからは、用途や環境に応じたフォーマットの使い分けについて紹介していきます!
初めて基板設計にチャレンジする人も、設計から製造までスムーズに進められるようになるヒントがたっぷりです♪
まずは一番気になるフォーマット選びのポイントからチェックしていきましょう!

どのフォーマットを使えばいいの?

ズバリ結論から言うと、「特別な指定がなければRS-274X(拡張ガーバー)」を使えばOKです!
なぜなら、今の製造現場のほとんどがRS-274Xに対応していて、手間も少ないからなんです。

RS-274Dは一昔前の形式で、アパーチャ情報を別ファイルで渡さなきゃいけなかったりして、正直ちょっと面倒なんですよね。一方、RS-274Xはその情報もファイルに含めてくれるので、製造側での読み込みがとってもスムーズになります。

さらに、X2やX3を使うと属性情報やコンポーネント情報まで含められるので、複雑な基板や量産向きの製造にもぴったり!ただし、X2やX3はすべての工場がまだ対応しているわけではないので、事前に確認が必要です。

迷ったら基本はRS-274Xで!もし将来的に複雑な基板や海外工場での製造を考えているなら、X2やX3も検討してみてくださいね!

ガーバーデータのDコード

Dコードは、ガーバーファイル内で特定の形状やサイズを示すための数値識別子です。

フォトプロッタが基板の各層を正確に描画するための指示が与えられます。Dコードは、主に以下のような情報を含みます。

  • 形状の定義: Dコードは、基板上のランドやトレースの形状を指定します。例えば、D01は丸い0.2mmを描く指示、D02は丸い1.0mmを描く指示などがあります。
  • アパーチャーリストとの関連: Dコードは、決まった番号を持っている場合と持っていない場合の2種類あります。決まった番号の場合はアパーチャーリスト(Dコード表)と呼ばれる別のファイルに記載された形状情報と結びついています。アパーチャーは、プロッタが使用する光の通過するスリットの形状を定義し、Dコードはそのアパーチャーの番号を参照します。RS-274D形式では、Dコードとアパーチャーリストの両方が必要ですが、RS-274X形式ではDコードがガーバーデータのヘッダー部分に含まれているため、アパーチャーリストは不要です。決まっていない場合は使用している形状の大きさでソートがかかったDコードになります。

ガーバーデータの拡張子

プリント基板


ガーバーフォーマットの開発元であるGerber Systems社で現在はUcamco社のサイトには標準のファイル拡張子はgbrですと記載されています。

Ucamco社のガーバーフォーマットのページはこちらからどうぞ
Ucamco社のガーバーフォーマットのページ

しかし、今までに見たガーバーデータのファイル名と拡張子は統一されておらず、CADソフトによりまちまちというのが実際のところです。

CADの機種によりデフォルトで設定されている拡張子が異なっていますし、任意で変える事が出来るCADもある為、ガーバーデータの拡張子はこれだ!という拡張子は存在していないと言える状況です。

一般的にファイル名で層を示して、拡張子でファイル種別(ガーバーデータなのか?ドリルデータなのか?、レポートファイルなのか?)がわかる様にしていることが多いです。

実際に、支給された様々なファイル名と拡張子のファイルの中から「何となくガーバーデータっぽいファイル名かも?」という感覚でガーバーデータを取り込むこともあります。

時には、拡張子から判断出来ないのでテキストエディタで開き、文字列を確かめることもあるくらいです。

ですので、ガーバーフォーマットを開発したUcamco社のサイトで標準のファイル拡張子はgbrですと記載されていますが、実際にはガーバーデータの拡張子には決まりが無いに等しいくらいに様々な拡張子があります。というのが現実です。

ガーバーデータを見る方法

ガーバーデータはガーバービューアソフトを使い見ることが出来ます。

当ブログでは、おすすめのガーバーデータのビューアソフト「ViewPlot」を紹介しています。
おすすめのガーバーデータを閲覧できるビューアソフト「ViewPlot」のページはこちらからどうぞ。

ガーバーデータの活用方法

元になる基板設計CADのデータが無いけれどガーバーデーターは有るという場合、基板設計CADに取り込んで復元することができます。

ただし、ガーバーデータを取り込んだだけのデータは、ネット情報や部品情報は持っていない絵柄だけのデータです。

実際の基板設計では、絵柄だけは再現できるので別レイヤーにガーバーデータを取り込んで下書きにしたり、使える部分はレイヤーを移動、又はコピーして属性を持った配線データにして活用しています。


進化している最新のガーバー規格

ガーバーフォーマットはどんどん進化していて、最近ではX2やX3といった新しい規格が注目されています。

「Xって何が違うの?」「これからは全部X系になるの?」と気になっている人も多いはず。
このパートでは、最新フォーマットであるGerber X2・X3の特徴や、それを使うメリットをわかりやすくまとめていきます!
まずは、それぞれのフォーマットの内容と、何がすごいのかをチェックしてみましょう♪

Gerber X2とX3の特徴とメリット

Gerber X2とX3は、従来のフォーマットに“属性情報”や“部品情報”を追加した、いわば進化系のガーバーデータなんです!

X2では、各パッドがSMDなのかビアなのか、どの層に対応しているのかなどの「属性情報」を含められるので、製造側が読み間違えるリスクが減ります。これにより、データ確認のやりとりがグッと減って、スムーズな製造が可能になります。

さらにX3になると、コンポーネント情報、つまりどのパッドがどの部品の足かまで含められるようになって、実装業者にとってもめちゃくちゃ便利なフォーマットになります。特に量産品や複雑な構造の基板では、X3のメリットが大きく感じられる。

もちろん、まだ全ての製造会社がX2やX3に対応してるわけではないので、使うときは確認が必要ですけど、将来的にはこの形式がどんどん主流になっていく流れです。

次は、そんなX系フォーマットとよく比較される「IPC-2581」との違いについても見てみましょう!

まとめ

ガーバーデータとは・フォーマット・拡張子・見る方法を紹介しました。

ガーバーデータはプリント基板やメタルマスクの製造に必要なデータでプリント基板業界で標準とされているフォーマットです。

ガーバーデータには、RS-274-D(標準フォーマット)とRS-274X(拡張ガーバーデータフォーマット)の2種類のフォーマットがありますが、RS-274X(拡張ガーバーデータフォーマット)が推奨されていて一般的です。

ガーバーデータの拡張子はガーバーフォーマットを開発したUcamco社のサイトで標準のファイル拡張子はgbrですと記載されていますが、実際の運用ではガーバーデータの拡張子は基板設計CADソフトのデフォルト設定で運用する事が多くgbrとは限りません。

ファイル名で層を表して拡張子でガーバーデータ・ドリルデータ・レポートファイル種別を区別している事が多いです。

以上、ガーバーデータのフォーマットと拡張子の紹介でした。

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