R1566はパナソニック国内生産のプリント基板材料で、R-1566Wは中国や台湾といったパナソニック海外生産のプリント基板材料になります。
2019年台風19号がもたらした大雨の影響で福島県を流れる阿武隈川が氾濫しました。
その影響で郡山中央工業団地が冠水し、同工業団地内のパナソニックの工場も浸水の被害を受けました。
同工場ではFR-4等の多層プリント基板の材料を生産していました。
基材で国内シェアの40パーセントを占めると言われている同工場は稼働を停止し、現在復旧作業中です。
詳しくはメーカー公式サイトへ
台風19号による郡山事業所の被害状況と復旧への取り組みについて
パナソニックのプリント基板材料で試作基板や量産基板を制作していたプリント基板メーカーは基板を作れない状態になってしまい、
その基板を使用して電気製品を製造していた電気メーカーや自動車メーカーも製品を作れなくなるという状況に陥ってしまいました。
パナソニックが講じた供給停止に対する対応は、R-1566に対しては国内用と電気的特性が同じ海外製品R-1566(W)の調達、R-1766に対しては国内用と電気的特性が同じ海外製品R-1766(GH)の調達です。
R-1566とR-1566(W)、R-1766とR-1766(GH)の基本特性はそれぞれ同じで、唯一異なるのはUV遮蔽率のみ。
基材サイズなど多少の違いがある様ですので、層構成等を基板メーカーへ連絡し製造可能かの確認が必要です。
それからR-1566(W)Wが安定して供給されるかというと、こちらも供給がひっ迫していると言われています。
実際に入手出来るかどうかはわかりませんが、高速信号を扱いインピーダンス制御をしシミュレーションも行っている基板では、電気的特性が同じR-1566(W)に替えるという選択肢がベストです。
理由は、電気的特性が同じなのでインピーダンス制御の再調整と再シミュレーションが不要だから。
私が携わった設計品はUSBやDDR2が搭載されていてパナソニック製のR-1566に合わせた仕様に合わせて配線幅や配線間隙を調整してインピーダンス管理をしています。
もちろんDDR2部についてはHyperLinxを用いてSI解析を行いました。
プリント基板のレイアウト設計は10月末に完了していて基板製造用のガーバーデータも作成済でしたが、パナソニック製の基材R-1566が無いという理由で12月に入っても試作基板を作れない状況で先が見えない状態でした。
ここにきて状況が変わり、パナソニック海外生産の基板材料であるR-1566(W)が確保できました。という連悪があり層構成も大丈夫という事になり、何とか試作基板の製作に進める事が出来たのです。
パナソニック郡山工場が復旧し安定稼働するまでは、R-1566(W)とR-1766(GH)を代替で使うという今の状況が続くと考えられます。
追記
パナソニック郡山工場が復旧し安定稼働した時期と新型コロナ感染拡大のタイミングが重なってしまい、バタバタしている状況だったのではっきりとは覚えていませんが、緊急事態宣言が発令される頃には、パナソニック郡山工場で作られた基材の供給は普通に戻っていたと思います。
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