









この記事では、基板設計の流れを分かりやすくご紹介します。
何事にも順序があるように、基板設計にも基本的な手順があります。
細かな表現や順番は多少異なる場合もありますが、一般的には次のような流れで進めます。
作業を始める前に、それぞれの工程で注意すべきポイントをチェックシートにまとめておくと安心です。
仕様の把握
基板設計を始める際は、まず配線幅や配線間の間隔、基板端からの制約などをCADに設定するため、仕様をしっかり把握する必要があります。
層構成や板厚、表面処理といった情報も重要です。特にSI解析やPI解析を行う場合は、詳細な層構成の情報を整えておかないと解析作業ができません。
層数と板厚
何層基板なのか?層数は基板設計CADの必須設定項目です。
一般的には、1層(片面)、2層(両面)、4層、6層、8層といった種類があります。
設計中に層数を増減するケースも珍しくありません。例えば、配線スペースが足りずに層を増やしたり、コスト削減のために層を減らしたりすることがあります。
板厚は1.6mmが標準的で、層構成によっても変わります。多層板の場合はGND層や電源層の配置も確認しておきます」。
表面処理・メタルマスク
表面処理は基板設計においては直接関係はありませんが、試作基板を発注する場合には必要な情報です。
水溶性ぴプリフラックス、共晶半田レベラーや金フラッシュなど、いくつか種類があります。
知識として持っておくと役立つ場面が多いです。
また、メタルマスクを作る場合は、基板サイズや部品情報から厚みを決定します。基板設計だけでなく製造工程にも関わるため、必要な情報は早めに確認しておきましょう。
配線仕様
「この仕様で設計してください」といった指定がある場合もあれば、そうでない場合は自分で決める必要があります。
電流値や電圧値に応じて配線幅や間隔を設定し、部品の配置密度や回路構成に合わせて最小パターン幅を決定します。
部品調べ・部品作成
支給される部品表をもとに、基板設計CADにフットプリントが登録されているかを確認します。登録がない部品は新規フットプリントの作成が必要です。
フットプリントの作成時間は部品によって異なり、シンプルなものは30分程度、形状が複雑なものや多ピンのものは半日以上かかることもあります。
CADデータの立ち上げ
ネットリストと部品ライブラリが揃ったら、新規CADデータを立ち上げます。
基板外形の入力
新規CADデータが立ち上がったら基板外形を入力します。
基板外形はDXFデータを取り込むのが一般的ですが、場合によっては手入力することもあります。外形入力後に寸法線を入力し外形に間違いがないことを必ず確認しましょう。
制限領域の入力
基板外形入力が完了したら、部品の高さ制限や配置・配線禁止領域を入力します。
デザインルール設定
CADのデザインルールで部品間隔や配線幅、配線間隙を設定します。
初期段階できちんと設定しておくことで、配線時のエラーを防げます。
部品配置
まず位置が決まっている部品を配置し、その後に大きな部品や残りの部品を配置していきます。
パターン配線
部品配置が完了したら、いよいよパターン配線になります。
パターン配線はラッツの短い配線から始め、電源やGNDも並行して進めると効率的です。高速信号や特定の回路ではインピーダンス管理も必要になります。
シルク編集
配線が終わったら、シルクで部品略称や注意表記を入れます。基板外形や層構成が分かるように文字データを追加し、穴図も作成します。
チェックと承認
デザインルールチェック(DRC)を行い、問題があれば修正します。
その後、回路設計者に承認依頼を行い、必要に応じて修正を繰り返します。
面付け外形・ガーバー出力
複数枚取りや枠付きデータなど、製造しやすい形に整えます。
ガーバー出力は事前にパラメーターを準備しておくとスムーズです。基板製作用とメタルマスク用でデータを分けておくと後々便利です。
データのバックアップ
最後に、ガーバーデータや関連ファイルをまとめてバックアップします。
まとめ
基板設計は、以下の流れで進めると効率的です。
- 仕様の把握
- 部品調べ
- 部品作成
- CADデータ立ち上げ
- 基板外形・制限領域の入力
- 部品配置
- パターン配線
- シルク編集
- DRC(デザインルールチェック)
- 検図
- ガーバー作成
- データのバックアップ
この手順を押さえて作業を進めれば、設計から製造までスムーズに進行できます。
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