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基板設計の手順をわかりやすく解説|標準的な設計フローとは

基板設計の流れ 基板設計の基礎
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基板設計は、感覚ではなく「手順」で品質が決まります。
順番を誤ると、設計後半で大きな手戻りが発生します。

とくにレイアウト完了後の仕様変更は、ほぼやり直しです。

この記事では、実務で一般的とされる基板設計の標準手順を、理由とともに整理します。
これから設計を始める方も、自分のやり方が合っているか確認したい方も、全体像の把握に活用してください。


基板設計の標準手順【全体像】

基板設計は、一般的に次の流れで進めます。

  1. 仕様確認
  2. 部品準備
  3. CADデータ立ち上げ
  4. 外形・制約条件入力
  5. デザインルール設定
  6. 部品配置
  7. パターン配線
  8. シルク編集
  9. DRC・検図
  10. ガーバーデータ作成
  11. データ保存・バックアップ

この順番が、もっとも手戻りが少ない標準的な基板設計の手順です。


手順① 仕様確認|設計の土台を固める

基板設計の最初の手順は、仕様を正確に把握することです。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 層数(片面/両面/多層)
  • 板厚
  • 基板サイズ
  • 配線幅・配線間隔
  • 表面処理
  • 使用電圧・電流条件

層数や板厚はCAD設定に直結します。
ここが曖昧だと、後工程で設計をやり直すことになります。

仕様確認は単なる確認作業ではなく、設計の方向性を決める工程です。


手順② 部品準備|止まりやすいポイント

次に行うのが部品の確認です。

  • 部品表(BOM)の確認
  • フットプリントの有無チェック
  • 未登録部品の作成
  • ピン番号・極性の確認

フットプリントのピン番号ミスは非常に多いトラブルです。
ここを丁寧に確認するだけで、不具合リスクは大きく下がります。

部品準備を後回しにすると、配置工程で確実に作業が止まります。


手順③ CADデータ立ち上げ|設計環境の準備

ネットリストと部品ライブラリを読み込み、新規データを作成します。

この段階ではまだレイアウトは始めません。
設計環境を整える工程です。


手順④ 外形・制約条件入力|最初に枠を決める

基板外形を入力します。
一般的にはDXFデータを取り込みます。

その後、以下を設定します。

  • 配置禁止エリア
  • 配線禁止エリア
  • 部品高さ制限

外形寸法のミスは、筐体に入らない原因になります。
寸法確認は必ず行います。


手順⑤ デザインルール設定|後戻りを防ぐ

配線幅や間隔、部品間隔などを設定します。

主な設定項目:

  • 最小配線幅
  • 最小配線間隔
  • ビア径
  • 部品クリアランス

この工程を省略すると、配線後に大量のDRCエラーが発生します。
最初にルールを固めることが効率的な設計の基本です。


手順⑥ 部品配置|品質を左右する工程

部品配置は基板設計の要です。

基本の流れは、

  1. コネクタや固定部品を配置
  2. 大型部品を配置
  3. 回路ブロック単位で整理

配置が整理されていれば、配線は自然と整います。
無理な配置は後工程の負担を増やします。


手順⑦ パターン配線|整理しながら進める

部品配置後、配線を行います。

一般的な進め方:

  • ラッツの短いものから処理
  • 電源やGNDを優先
  • 回路ブロック単位で進める

配線は「つなぐ作業」ではなく「整理する作業」です。


手順⑧ シルク編集|製造と保守を意識する

部品番号や注意書きを記載します。

確認ポイント:

  • 文字の重なり
  • 向きの統一
  • 実装後に見える位置

シルクは製造現場や保守作業に影響します。


手順⑨ DRC・検図|最終チェック

まずDRC(デザインルールチェック)を実行します。
エラーがゼロになるまで修正します。

その後、回路設計者や上長による検図を行います。

DRCは自動チェック、検図は人の確認です。
両方を行って初めて設計完了です。


手順⑩ ガーバーデータ作成|製造データの準備

製造用データを出力します。

  • ガーバーデータ
  • ドリルデータ
  • 部品実装図(必要に応じて)
  • 部品座標データ

部品実装図は、試作や手実装時に特に重要です。
量産時でも確認資料として求められることがあります。

出力条件の設定ミスは再製造の原因になります。


手順⑪ データ保存・バックアップ|改版に備える

最後に、設計データと出力データを整理して保存します。

  • 設計元データ
  • ガーバー一式
  • 仕様書・関連資料

改版対応やトラブル時に必ず役立ちます。


【保存版】基板設計 手順チェックリスト

※印刷・PDF化して使える想定で作成しています。


① 仕様確認チェック

□ 層数は確定している
□ 板厚は確定している
□ 基板サイズは最新図面と一致している
□ 配線幅・配線間隔の制約を確認した
□ 使用電圧・電流条件を把握している
□ 表面処理仕様を確認した
□ 製造ロット(試作/量産)を把握している

✔ ここが曖昧なまま進めない


② 部品準備チェック

□ 最新の部品表(BOM)を使用している
□ すべてのフットプリントが登録済み
□ 未登録部品を作成済み
□ ピン番号とシンボルが一致している
□ 極性部品の向きを確認した
□ 代替部品の有無を確認した

✔ ピン番号ミスは最優先確認事項


③ CAD立ち上げチェック

□ 正しいネットリストを読み込んだ
□ 部品ライブラリは最新版
□ 設計フォルダ構成を整理した
□ バックアップ保存先を決めた

✔ レイアウト前に環境を整える


④ 外形・制約入力チェック

□ 基板外形は最新DXFを使用
□ 寸法確認済み
□ 配置禁止エリアを設定した
□ 配線禁止エリアを設定した
□ 部品高さ制限を入力した

✔ 外形ミスは致命的


⑤ デザインルール設定チェック

□ 最小配線幅を設定
□ 最小配線間隔を設定
□ ビア径を設定
□ 部品クリアランス設定済み
□ DRCルールを保存した

✔ ルール未設定で配線開始しない


⑥ 部品配置チェック

□ 固定部品を先に配置した
□ コネクタ位置は図面通り
□ 回路ブロック単位で整理した
□ 配線経路を想定して配置している
□ 部品間のメンテナンス性を考慮した

✔ 配置で配線難易度が決まる


⑦ パターン配線チェック

□ 電源・GNDを優先的に配線
□ ラッツを残さず処理
□ 無理な蛇行配線がない
□ 不自然なビア乱用がない
□ 未接続ネットがゼロ

✔ 配線は“整理”の意識で


⑧ シルクチェック

□ 部品番号が重なっていない
□ 向きが統一されている
□ 実装後に見える位置
□ 基板名・版数を記載

✔ 製造現場目線で確認


⑨ DRC・検図チェック

□ DRCエラーゼロ
□ 回路意図と一致している
□ 極性部品の向き再確認
□ 実装不可能箇所がない
□ 他者レビューを受けた

✔ DRCと検図は別工程


⑩ 出力データチェック

□ ガーバーデータ出力済み
□ ドリルデータ出力済み
□ 部品実装図(必要時)作成
□ 部品座標データ出力
□ レイヤー欠落がない

✔ 出力条件は毎回確認


⑪ 保存・バックアップチェック

□ 設計元データ保存
□ ガーバーデータ一式保存
□ 仕様書・関連資料保存
□ フォルダ構成整理済み
□ クラウドまたは外部保存済み

✔ 改版時に必ず役立つ


使い方

・新人教育資料として配布
・設計前のセルフチェック用
・検図前の最終確認

基板設計の手順は「覚える」より「毎回確認する」方がミスが減ります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 基板設計の手順はこの順番で必ず進めるべきですか?

基本的にはこの順番が標準です。
大きく崩すと手戻りが発生します。


Q2. 一番重要な工程はどこですか?

部品配置です。
配置の良し悪しで配線の難易度が決まります。


Q3. 初心者が失敗しやすいポイントは?

  • 仕様確認不足
  • フットプリントのピン番号ミス
  • ルール未設定で配線開始

この3つが代表的です。


Q4. DRCと検図の違いは?

DRCはCADによる自動チェック。
検図は人の目による確認です。


Q5. 部品実装図は必ず必要ですか?

必須ではありませんが、
試作や外注実装では作成しておくとトラブル防止になります。

まとめ|基板設計は「正しい手順」がすべて

基板設計の手順は、単なる作業の並びではありません。
順番には意味があります。

仕様確認から始まり、
部品準備、配置、配線、チェック、出力へと進む。

この標準的な流れを守ることで、
無駄な手戻りを防ぎ、安定した設計ができます。

基板設計でまず身につけるべきなのは、
高度なテクニックではなく「正しい手順」です。

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