この記事では、拡張子「.vsd」や「.vsdx」のファイルは、Microsoftの「Visio」で作成された図面ファイルです。
これらのファイルは、フローチャートや回路図、部品配置図、システム構成図、ネットワーク図、業務フロー、さらには製造現場での生産ラインレイアウトなど、幅広い分野で利用されています。
特にエンジニアリングや設計業務においては、設計者がアイデアを図として共有する際に欠かせない形式となっています。
Visioファイルは図形オブジェクトの関係性やレイヤー情報などを保持しており、単なる画像データではなく、編集可能なベクターデータとして扱えるのが特徴です。
そのため、他のソフトでは正確に再現できない場合もあります。以前は「Visio Viewer」と「Internet Explorer(IE)」を組み合わせることで容易に閲覧できましたが、IEのサポート終了によりその方法が使えなくなり、特に閲覧専用の環境しかない利用者にとっては大きな問題となりました。
このような背景から、多くのユーザーが代替ソフトを探すことになりました。
中には有料のVisioライセンスを導入する企業もありますが、閲覧だけのために高価なソフトを導入するのは非効率です。
そこで注目されるのが、無料かつオープンソースで利用できる「LibreOffice Draw」です。
この記事では、IEのサポート終了後にVisioファイルを開く実用的な方法として、この「LibreOffice Draw」を活用する手順と実際の使用感を詳しく紹介します。
「LibreOffice」のDrawで開く
IEのサポートが終了した現在、Visioファイルを手軽に開く方法としておすすめなのが「LibreOffice」です。
LibreOfficeは、世界中で利用されている無料のオープンソースオフィスソフトで、文書作成、表計算、プレゼンテーション、作図など、多彩な機能をひとまとめにした統合環境を提供しています。
Microsoft Officeとの高い互換性を持ちながら、独自の拡張性や軽快な動作も魅力のひとつです。
特に「Draw」は、Visioのような図面・レイアウト作成に適したツールで、回路図、組立図、ネットワーク構成図などを自由に編集できます。
ベクターデータの読み込みに対応しているため、Visio形式のファイルをそのまま開いて編集や加工も行える点が非常に便利です。
また、PDFの読み込み・書き出しにも対応しており、ファイル共有の幅も広がります。
筆者の場合、会社のPCにはインストールされていませんでしたが、自宅PCにたまたまLibreOfficeが入っており、「.vsdx」ファイルをダブルクリックするだけでスムーズに開くことができました。
特別な設定を行う必要もなく、Visio Viewerを導入しなくても閲覧や印刷までできたのは大きな発見でした。
さらに、Drawの操作画面は直感的で、図形の編集・移動・拡大縮小などがドラッグ操作だけで行えるため、初心者でも扱いやすいと感じます。
LibreOfficeはWindowsだけでなく、macOSやLinuxでも利用可能で、企業の業務環境や個人用途を問わず柔軟に活用できます。
軽量でありながら機能が充実しており、特にネットワーク制限が厳しい職場などでもUSBメモリからポータブル版を起動できる点も実用的です。
LibreOfficeの詳細や導入方法については、別記事でも詳しく紹介しています。
vsd・vsdxファイルを開いてみる
Microsoft IEはサポートが終了しWindowsからアイコンが消えていますので使えません。
Microsoft IE以外のLibreOfficeで開きます。
拡張子が「vsd」のファイルをダブルクリック。LibreOffice Drawを選択します。

ここでLibreOffice Drawが表示されなかったら開けることに気付かなかったでしょう。

もし「LibreOffice Draw」が関連付けされていない場合は、手動でアプリケーションを選択しましょう。
関連付けは、ファイルを右クリックして「プログラムから開く」→「別のアプリを選択」から設定できます。一度設定すれば、次回からは自動的にDrawで開くようになります。
さらに、ネット上で公開されているVisioサンプルデータも問題なく表示できました。
複雑なフローチャートや配線図もズレなく再現され、図形や文字の位置も正確に保たれています。
線の太さや色もほぼオリジナル通りで、レイヤー構造も確認できる点は非常に優秀です。
試しに図形の一部を編集してみたところ、Draw上でスムーズに移動や削除ができ、再保存も可能でした。
また、開いたファイルをPDFにエクスポートすれば、他の環境でも手軽に共有できます。
このようにLibreOffice Drawは、閲覧だけでなく軽い編集や資料化にも十分活用できる強力な代替手段といえます。
まとめ
Microsoft Visioで作成された「.vsd」「.vsdx」ファイルは、無料の「LibreOffice Draw」で簡単に開くことができます。
実際に使用してみると、図形や文字、線のスタイルなどもかなり忠実に再現され、業務で受け取った設計資料やフローチャートを確認するのにも十分な精度を持っています。
特に、印刷機能やズーム表示、レイヤーのオン・オフ切り替えといった基本的な操作も可能で、閲覧にとどまらず軽微な修正や注釈を加える作業にも対応できます。
また、LibreOffice Drawでは複数ページ構成のVisioファイルにも対応しており、ページごとに内容を切り替えながら確認することができます。
さらに、開いたデータをPDFとして出力することで、Visioを持たない他のユーザーとも共有しやすくなります。
図形の再配置や文字サイズの変更などもドラッグ操作で簡単に行えるため、直感的な操作感も魅力です。
もし、より高精度な互換性が求められる場合には、LibreOfficeのバージョンを最新に保つことをおすすめします。
新しいバージョンではVisio形式への対応が継続的に改善されており、以前表示できなかった要素も正しく読み込めるようになっています。
IEのサポート終了後にVisioファイルを閲覧できず困っている方は、ぜひLibreOfficeを試してみてください。
無料で入手でき、インストールも簡単なので、個人利用から業務環境まで幅広く活用できます。
今後、Microsoft EdgeでVisioファイルの閲覧機能が実装されれば、さらに便利になるかもしれませんね。
Edgeがブラウザ上でVisio図面を直接表示できるようになれば、クラウド環境でのファイル共有や確認作業が一段とスムーズになるでしょう。


コメント