プリント基板設計は、何年経験を積んでも学びが尽きることのない仕事です。
CADが普及し、設計環境が大きく進化した現在でも、基板設計者には常に新しい知識と判断力が求められます。
40年以上にわたり基板設計に携わってきた私自身、「もう十分に理解した」と感じたことは一度もありません。むしろ、技術の進歩に触れるたびに、学び直しの必要性を痛感してきました。
この記事では、手作業の時代からCAD設計、高密度・高速基板へと変化してきた現場の実体験をもとに、ベテランになっても終わらない「基板設計という仕事の学びの本質」を紹介します。
これから基板設計を目指す方にも、現役設計者の方にも、この仕事の奥深さとやりがいが伝われば幸いです。
プリント基板設計の歩みと変化
プリント基板設計に携わり始めてから、気が付けば40年が経ちました。
「ベテラン」と呼ばれることもありますが、実感としては常に勉強中の設計者です。
設計を始めた当初は、CADなど存在せず、シャープペンと消しゴムによる完全な手作業が当たり前でした。100mil(2.54mm)グリッド、リード部品中心の時代です。
時間と労力はかかりましたが、当時はそれが普通で、設計とは「手を動かして考えるもの」だったのです。
CADの登場が変えた基板設計の役割
CADツールの登場は、基板設計の現場を劇的に変えました。
- 自動配線
- 配置検討の高速化
- 3D表示による干渉確認
これらは手作業では不可能だったことです。
一方で、設計者に求められる能力はむしろ増えました。
ツールを使いこなす知識だけでなく、
- 信号反射
- クロストーク
- ノイズ対策
- 高速信号・高密度実装への理解
といった電気的・物理的な判断力が不可欠になったのです。
基板設計者は、単なる配線担当ではなく、「品質を左右する技術者」へと役割が変化しました。
ベテランでも学び続ける理由
40年の間に、部品、規格、設計ルールは何度も変わりました。
そのたびに、知識をアップデートし続ける必要がありました。
時には、若い設計者から新しいツールや考え方を学ぶこともあります。
しかし、それは決して恥ずかしいことではありません。
基板設計という仕事そのものが、学び続けることを前提とした職業だからです。
さらに、設計には
- コスト
- 製造性
- メンテナンス性
といった現場視点も求められます。
配線一本の判断が、製品全体の品質を左右することも珍しくありません。
基板設計は「一生続く挑戦」
ベテランになった今でも、「すべて理解できた」と感じたことはありません。
それでも、次々と現れる課題に向き合い、学び、考え、解決していく過程こそが、基板設計という仕事の最大の魅力だと感じています。
技術の進歩がある限り、基板設計に終わりはありません。
だからこそ、この仕事は飽きることがなく、一生をかけて取り組む価値があるのです。
まとめ
プリント基板設計は、経験年数に関係なく学び続ける仕事です。
- 手作業からCAD設計へ
- 低密度から高密度・高速基板へ
設計環境は大きく変わりましたが、変化に対応し続ける姿勢こそが、設計者にとって最も重要な資質です。
ベテランであっても学びを止めない限り、基板設計は常に新しい発見とやりがいを与えてくれます。
この終わりのない学びこそが、基板設計という仕事の本質だと、40年の経験から強く感じています。


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