高速デジタル回路や高速通信インターフェースでは、
終端抵抗(Termination Resistor) が重要になります。
終端抵抗は主に
- 信号反射の抑制
- オーバーシュートの低減
- リンギングの抑制
を目的として使用されます。
特に次のような回路では必須になることがあります。
- DDRメモリ
- 高速FPGA信号
- LVDS
- 高速シリアル通信
この記事では
- 終端抵抗とは何か
- なぜ必要なのか
- 終端方式の種類
- 実務での使い分け
を Signal Integrity(SI)視点で解説します。
終端抵抗とは
終端抵抗とは
伝送線路の終端に配置する抵抗
です。
目的は
信号反射を抑えること
です。
伝送線路では、信号が到達する先のインピーダンスが
配線の特性インピーダンスと一致していない場合、
信号反射が発生します。
反射係数は次の式で表されます。
Γ = (ZL − Z0) / (ZL + Z0)
- Z0:配線の特性インピーダンス
- ZL:負荷インピーダンス
もし
ZL = Z0
であれば
反射 = 0
になります。
そのため終端抵抗を使って
インピーダンス整合を行います。
なぜ終端抵抗が必要なのか
終端抵抗が必要になる理由は
信号反射の防止
です。
反射が発生すると次の現象が起こります。
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
- EMI増加
これらは信号品質(SI)を悪化させる原因になります。
終端抵抗の種類
終端方式にはいくつかの種類があります。
ソース終端(シリーズ終端)
送信側に直列抵抗を入れる方式です。
ドライバ直後に抵抗を配置します。
目安
R ≈ Z0 − ドライバ内部抵抗
特徴
- 部品が少ない
- 消費電力が少ない
- FPGAやMCUでよく使用
受信側終端(パラレル終端)
受信側に抵抗を配置する方式です。
抵抗値は
Z0
に合わせます。
特徴
- 反射を完全に吸収できる
- 高速バスで使用される
Thevenin終端
2つの抵抗で終端する方式です。
VDDとGNDの間に抵抗を配置し、
中点を信号線へ接続します。
特徴
- 電圧バイアスが可能
- TTLバスなどで使用
AC終端
抵抗とコンデンサを組み合わせた終端です。
特徴
- DC電流が流れない
- 高速差動信号で使用
ソース終端と受信側終端の違い
| 項目 | ソース終端 | 受信側終端 |
|---|---|---|
| 抵抗位置 | 送信側 | 受信側 |
| 消費電力 | 少ない | 多い |
| 部品数 | 少ない | 多い |
| 用途 | FPGA・MCU | 高速バス |
終端抵抗の使い分け
実務では次のように使い分けます。
FPGAやMCUのGPIO
ソース終端が一般的です。
理由
- 消費電力が少ない
- 配線が単純
DDRメモリ
受信側終端が多く使われます。
理由
- 高速バス
- 信号品質が重要
高速差動信号
差動終端が使用されます。
例
- LVDS
- PCIe
- USB
終端抵抗の設計ポイント
終端設計では次の点が重要です。
特性インピーダンス
多くのPCBでは
50Ω
が基準になります。
抵抗の配置
終端抵抗は
できるだけ信号源または受信側の近く
に配置します。
スタブ配線
終端抵抗までの配線が長いと
反射の原因になります。
まとめ
終端抵抗とは
信号反射を抑えるための抵抗
です。
主な方式は
- ソース終端
- 受信側終端
- Thevenin終端
- AC終端
です。
適切な終端設計を行うことで
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
を抑え、信号品質を改善できます。
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