基板設計でガーバーを出力したのに、製造から問い合わせが来る。
原因の多くは「ドリルデータ」にあります。
本記事では、ドリルデータ(Excellon形式)の基礎からPTH/NPTH分離、出力設定、確認方法までを整理します。
ドリルデータとは
ドリルデータとは、基板に開ける穴位置と穴径を定義する加工データです。
ガーバーは「銅の形状」を定義しますが、
ドリルデータは「穴加工」を定義します。
通常は Excellon形式(.drl) で出力します。
ガーバーとの違い
| 項目 | ガーバー | ドリルデータ |
|---|---|---|
| 目的 | 銅形状定義 | 穴位置定義 |
| 形式 | RS-274X | Excellon |
| 拡張子例 | .gtl .gbl | .drl |
役割が異なるため、必ず別ファイルで出力します。
👉 ガーバーデータについて詳しく紹介しています。
(ガーバーデータの記事へ)
PTHとNPTHの違い
ドリルデータで最も重要なのが、PTHとNPTHの分離です。
スルーホール(PTH)(Plated Through Hole)
- めっきあり
- 電気的接続あり
- 部品スルーホール
- 貫通ビア
ノンスルーホール(NPTH)(Non Plated Through Hole)
- めっきなし
- 電気的接続なし
- 位置決め穴
- 機械固定穴
製造工程が異なるため、分離出力が基本です。
例:
Project_PTH.drl
Project_NPTH.drl
ビアはどちらに入る?
貫通ビアはスルーホール(PTH)扱い です。
電気的接続があるため、めっき穴として出力されます。
出力時の重要設定
① 単位(mm / inch)
ガーバーと統一すること。
単位ミスは重大トラブルになります。
一般的にミリ単位で出力しています。
② ゼロ抑制設定
- Leading zero suppression
- Trailing zero suppression
製造側と齟齬がない設定にします。
ドリルリストにどんなフォーマットで出力されたかが記述されるのであまり気にしなくていい内容です。取り込む側が気にします。
③ ツールテーブル確認
穴径ごとの工具番号(Tコード)が正しく割り当てられているか確認します。
よくある出力ミス
- PTH/NPTH混在
- 内層ビア抜け
- 単位設定ミス
- 長穴未定義
- ドリル未出力
特にPTHとNPTHの混在は問い合わせ率が高い項目です。
ドリルデータの確認方法
ビューア確認
KiCad
無料でドリル確認可能。
Altium Designer
CAMレベルで確認できます。
確認ポイント
- 全穴表示されているか
- PTH/NPTHが分かれているか
- 穴数が穴図と一致しているか
- 長穴が正しく出力されているか
穴図との突き合わせ
ドリルデータ単体ではなく、穴図と必ず照合します。
- 仕上がり穴径
- PTH/NPTH区分
- 穴数
設計意図と一致しているかを確認します。
FAQ
Q1. ドリルデータは1つでも良い?
分離が基本ですが、1ファイルのものしかない場合は、ドリルリストにスルーホールとノンスルーホールの区別がわかるように記入し、基板メーカの人に区別が伝わるようにします。
Q2. ブラインドビアはどう扱う?
層間情報を含めた設定が必要です。又、ドリルデータも貫通スルーホールとブラインドスルーホールに分けます。穴図も貫通とブラインドビアを別に作成します。
Q3. 長穴はどう出力する?
CADのスロット設定で出力します。
円形穴とは別管理になりますが、ドリルデータとしてはスルーホールデータに含まれます。
CADにスロット設定がない場合は、設計時にセンターにツール番号を分けて一穴置いて、穴図に長穴で長穴方向がわかるようにし、ドリルリストに〇〇×〇〇長穴センターと注記を書いて基板メーカーに伝わるようにします。
Q4. ドリルはガーバーに含まれる?
厳密には別ファイルですが、プリント基板の製造用データセット(ガーバーデータ)としては「セットで提出するもの」です。
👉 ガーバーデータ一式について詳しく紹介しています。
(ガーバーデータ一式の記事へ)
まとめ
ドリルデータは、
- PTH/NPTHを分離する
- 単位を統一する
- ツールテーブルを確認する
- 穴図と照合する
この4点が基本です。
ガーバーと並ぶ重要データとして、
必ず最終確認を行ってから提出します。


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