最近、書店を訪れるたびに、『ラズベリーパイ』に関する本をよく見かけるようになりました。以前は電子工作の専門書棚の一角にひっそりと置かれていた印象でしたが、今では平積みや特設コーナーなど、目立つ場所に並んでいることも多くなっています。
どうやら子どもからシニア世代まで、世代を問わず幅広い層に支持されているとのことで、単なる電子機器というよりも、学びや趣味、創作のツールとしての価値が見直されているようです。
私自身はこれまで名前を聞いたことがある程度だったのですが、ここまで注目されているなら一度しっかり調べてみようと思い、基本情報から最新モデルの性能、活用方法まで詳しく調査してみました。
ラズベリーパイとは?
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は、英国の慈善団体であるRaspberry Pi財団によって、主に教育分野でのプログラミング学習を目的として開発された、超小型で手のひらサイズのシングルボードコンピュータです。そのコンパクトさと低価格を活かし、世界中の学校や個人ユーザーに広く利用されています。
日本国内では「ラズパイ」という愛称で親しまれており、電子工作ファンやプログラミングを学びたい初心者、さらにはプロのエンジニアにまで幅広く支持されています。学習用途にとどまらず、趣味や試作、業務の一環としての活用まで、多彩なニーズに応えられる柔軟さが魅力です。
ラズベリーパイの基板にはHDMI出力端子やUSBポート、有線LANポート、GPIOピンなどが搭載されており、各種デバイスとの接続やハードウェア拡張が簡単に行える設計となっています。また、Wi-FiやBluetoothを搭載しているモデルもあり、無線通信にも対応できます。
記憶装置に関しては、一般的なPCのようにHDDやSSDを内蔵していません。その代わり、マイクロSDカードスロットが搭載されており、そこに挿入したカードがOSの起動およびデータ保存用のストレージとして機能します。最近のモデルでは、USBストレージや外部SSDのブートにも対応しています。
ラズパイを起動するためにはいくつかの周辺機器が必要です:
- 電源供給用のUSB Type-CまたはmicroUSBケーブル(モデルによる)
- HDMI接続が可能なディスプレイとHDMIケーブル
- USBキーボードとマウス(またはBluetooth対応機器)
- OSをインストールしたマイクロSDカード(または対応するUSBストレージ)
また、公式サイトではRaspberry Pi専用に最適化されたLinuxベースのOS「Raspberry Pi OS(旧名:Raspbian)」が無料で提供されています。インストーラー「Raspberry Pi Imager」を使えば、OSの書き込みや初期設定も直感的に行えるようになっており、初心者でも手軽にセットアップが可能です。
OSのダウンロードはこちらから行えます: https://www.raspberrypi.com/software/
主なRaspberry Piモデル(2025年現在)
Raspberry Pi 5(2023年発売)
- CPU:2.4GHz クアッドコア(ARM Cortex-A76ベース)
- RAM:4GB / 8GB LPDDR4X
- ビデオ出力:microHDMI×2(最大4K60Hz対応)
- ストレージ:microSD、PCIe拡張対応(外部SSDやNVMe対応)
- USBポート:USB 3.0×2、USB 2.0×2
- 無線通信:Wi-Fi 6(802.11ax)、Bluetooth 5.0
- その他:RTC、電源ボタン搭載、冷却用ファン端子
- 電源:USB Type-C(5V 5A)
Raspberry Pi 5は従来モデルから飛躍的な進化を遂げており、特にCPU性能やグラフィック処理能力が格段に向上しています。PCIeスロットを活用すれば、高速な外部ストレージや追加のインターフェースカードを取り付けることも可能となり、デスクトップ用途だけでなく、高度なエッジAIや画像処理、開発環境構築にも対応できるポテンシャルを持っています。
Raspberry Pi 4
- CPU:1.5GHz クアッドコア(ARM Cortex-A72)
- RAM:1GB / 2GB / 4GB / 8GB
- ビデオ出力:microHDMI×2(デュアル4K出力対応)
- ストレージ:microSDスロット、USBストレージ対応
- USBポート:USB 3.0×2、USB 2.0×2
- 無線通信:Wi-Fi 802.11ac、Bluetooth 5.0
- 電源:USB Type-C(5V 3A)
Raspberry Pi 4はそのバランスの取れた性能と手頃な価格から、今でも教育用途からDIYプロジェクト、メディアサーバー用途に至るまで多くのユーザーに愛用されています。また、RAM容量の選択肢が多く、用途に応じて最適な構成が選べる点も大きな魅力です。
Raspberry Pi Zero 2 W(2021年発売)
- CPU:1GHz クアッドコア(ARM Cortex-A53)
- RAM:512MB
- ビデオ出力:miniHDMI(最大1080p対応)
- 無線通信:Wi-Fi 802.11n、Bluetooth 4.2
- USB:microUSB(OTG対応)
- 電源:microUSB(5V 2.5A推奨)
- サイズ:65mm × 30mm × 5mm
Raspberry Pi Zero 2 Wは、低消費電力かつ超小型でありながらも、Raspberry Pi 3相当の処理能力を備えたコンパクトなモデルです。IoTデバイスやスマートホーム機器の中核、または携帯型のガジェット開発において特に重宝されています。消費電力の低さと価格の安さから、大量展開を前提とした組み込み用途にも適しています。
ラズパイでできること
- LinuxベースのPCとして利用可能で、オフィスソフトの操作やネットサーフィンもこなせます
- PythonやC++をはじめ、JavaScriptやScratchなど様々な言語のプログラミング学習に対応
- 自宅サーバーとしての運用が可能で、Webサーバー、ファイル共有(NAS)、VPNなどの用途にも最適
- IoT機器の制御やモニタリングに活用され、スマートホームやセンサー連携にも応用可能
- レトロゲームのエミュレーター(RetroPieなど)として使えば、懐かしのゲーム機を再現可能
- メディアプレイヤー(KodiやPlexなど)として動画・音楽・写真の視聴環境を構築できる
- Windows 11(ARM版)や軽量なLinux系OS(Ubuntu Mate、DietPiなど)をインストールして独自のPC環境を構築可能
- タブレットやeInkディスプレイと組み合わせたポータブル端末の製作
- AIや機械学習ライブラリ(TensorFlow Liteなど)を使った実験的なプロジェクトへの応用
小型で静音、低消費電力という特性から、長時間連続稼働や常時オンラインが求められる用途にも非常に適しています。さらに、複数台を連携させたクラスタ構成(Piクラスタ)での並列処理なども楽しめる奥深いデバイスです。
私自身も日常的にブログの運営にあたってレンタルサーバーを活用していますが、ラズベリーパイのような小型コンピュータで自宅サーバーを構築するという発想は、これまで想像していなかっただけに、とても新鮮でワクワクさせられました。静音性や省スペース性、低消費電力といった利点もあり、自宅で静かに稼働し続けるサーバーとしては理想的な構成なのではないかと感じます。
例えば、日々のブログのバックアップを自動で保存したり、画像を一時的に保管するクラウドのような使い方、あるいはアクセス解析をローカルで行える仕組みなど、アイデア次第でさまざまな可能性が広がります。もちろんセキュリティの確保など気を付ける点もありますが、手を動かしながら学べるという点でも魅力的です。
もし時間と心の余裕があれば、ラズパイを使って簡単なホームサーバーやIoTガジェットを自作し、その工程をブログで紹介するなんてこともやってみたいですね。趣味と実益を兼ねた新たな挑戦として、非常に面白そうです。
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