基板設計において、図面や製造データの管理は設計品質と同じくらい重要です。
回路や配線に問題がなくても、旧データが混在したまま製造に回れば重大なトラブルにつながります。
設計者の仕事は「設計を完成させること」だけではありません。
正しいデータを、正しい状態で渡すことまでが責任です。
本記事では、基板設計における図面データ管理の注意点を、実務目線で整理します。
なぜ図面データ管理が重要なのか
基板設計では、次のような複数のデータが存在します。
- ガーバーデータ一式
- ドリルデータ
- 部品表(BOM)
- 実装図
- 外形図
- DXFデータ
- PDF図面
- STEPデータ
これらは個別のファイルではなく、
ひとつの設計セットです。
一部でも旧版が混在すると、製造現場では気づかずに進行してしまう可能性があります。あります。
ファイル名の付け方|基板設計で混在事故を防ぐルール
基板設計において、ファイル名の付け方は単なる整理ではありません。
ファイル名は設計情報そのものです。
曖昧な命名は、旧データ混在や製造トラブルの原因になります。
① ファイル名に必ず含める3要素
最低限含める要素:
- 図番(基板番号)
- Rev(リビジョン)
- データ種別
例:
A123-02_Gerber_Top.gbr
A123-02_Gerber_Bottom.gbr
A123-02_BOM.xlsx
A123-02_Drawing.pdf
A123-02_STEP.stp
これで内容が一目で分かります。
② 図番は先頭に置く
図番を先頭に置く理由:
- 並び順が揃う
- ZIP展開時に混在しにくい
- 検索しやすい
③ Rev表記は統一する
悪い例:
- Rev01
- REV1
- R1
- -01
ルールを決めて固定します。
例:
A123-02
混在させないことが重要です。
④ 誰が作業しても同じ形になる仕組みを作る
図面データ管理で最も重要なのは、
誰が作業してもフォルダ構成とファイル名が変わらないこと。
属人化を排除します。
「私はこう管理している」ではなく、
誰がやっても同じ結果になる
これがルール化の目的です。
フォルダ構成を固定する
例:
Project_A123/
├─ 01_DesignData
├─ 02_Gerber
├─ 03_Document
├─ 04_Assembly
├─ 05_Archive
重要なのは、
同じ種類のデータを同じ場所に保存すること。
バージョン管理(Rev管理)の基本
Rev変更時に確認すること:
- 図番は更新されているか
- ガーバー生成日時は最新か
- BOMと一致しているか
- PDFに旧Revが残っていないか
Revは単なる数字ではありません。
製造基準そのものです。
出図・製造データ送付前 実践チェックリスト
① 図番・Rev整合
□ 図番は最新か
□ 全ファイルで統一されているか
□ Rev表記にゆれはないか
② フォルダ構成
□ 旧RevはArchiveに隔離されているか
□ 同一フォルダに旧図番が混在していないか
③ ガーバーデータ
□ 生成日時は最新か
□ ドリルと同一タイミングか
□ レイヤー抜けはないか
④ PDF・図面
□ 図番は最新か
□ 旧Rev表記が残っていないか
⑤ ZIP化前
□ 不要ファイルが含まれていないか
□ 圧縮後に再確認したか
⑥ 最終責任確認
□ 「このデータで製造されても問題ない」と言えるか
設計者の責任は「設計」だけではない
43年以上基板設計に関わってきましたが、
設計ミスよりも「データ管理ミス」の方が深刻なトラブルになるケースを何度も見てきました。
配線が正しくても、旧データが製造に回れば意味がありません。
図面データ管理は地味ですが、
設計品質そのものです。
まとめ
基板設計における図面データ管理は、品質を支える基盤です。
- 図番の統一
- ファイル名ルールの徹底
- フォルダ構成の固定
- Rev管理
- 出図前チェック
これらを徹底することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
設計判断と同じくらい、
データ管理にも責任を持つことが重要です。


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