デジタル信号の波形が崩れる原因としてよく出てくるのが
信号反射(Signal Reflection)
です。
信号反射が発生すると、次のような現象が起こります。
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
- EMI増加
これらの原因の多くは
インピーダンス不整合
です。
この記事では
- 信号反射とは何か
- インピーダンス不整合の仕組み
- なぜ基板配線で起こるのか
- 基板設計での対策
を Signal Integrity(SI)視点で解説します。
信号反射とは
信号反射とは、信号が配線を伝搬している途中で
一部のエネルギーが元の方向に戻る現象
です。
これは、信号が進む先で
インピーダンスが変化したとき
に発生します。
イメージとしては、水の波が壁に当たると
一部が跳ね返るのと似ています。
送信側 → → → 負荷 ↓
インピーダンス変化
↓送信側 ← ← ← 反射波
この反射波が元の信号と重なることで
波形の乱れが発生します。
なぜ反射が発生するのか
信号反射は
インピーダンス不整合
によって発生します。
配線には 特性インピーダンス(Z0) があります。
例えばPCB配線では
- マイクロストリップ
- ストリップライン
などで
Z0 ≈ 50Ω
程度になることが多いです。
しかし、信号が到達する先の回路のインピーダンスが
この値と一致していない場合、信号の一部が反射します。
反射係数
反射の大きさは
反射係数(Reflection Coefficient)
で表されます。
式は次の通りです。
Γ = (ZL − Z0) / (ZL + Z0)
- Z0:配線の特性インピーダンス
- ZL:負荷インピーダンス
この式から次のことがわかります。
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| ZL = Z0 | 反射なし |
| ZL > Z0 | 正反射 |
| ZL < Z0 | 負反射 |
つまり
インピーダンスが一致していれば反射は発生しません。
PCB配線で反射が起きる理由
実際の基板では、インピーダンスが完全に一致することはほとんどありません。
特に次の場所で変化が起きます。
IC入力
ICの入力インピーダンスは配線と一致していないことが多いです。
コネクタ
コネクタ部分でインピーダンスが変化します。
ビア
レイヤ変更で寄生成分が増えます。
スタブ配線
分岐配線は小さな共振構造になります。
なぜ低速回路でも反射が起きるのか
信号反射はクロック周波数ではなく
立ち上がり時間
に依存します。
例えば
立ち上がり時間 = 1ns
の場合、波形には
約350MHz
程度の高周波成分が含まれます。
そのため
- 数MHzの信号でも
- 数cmの配線でも
反射が発生することがあります。
反射によって起こる現象
信号反射が起こると、波形に次のような影響が出ます。
オーバーシュート
信号電圧が目標電圧より上に跳ね上がる。
アンダーシュート
信号電圧が0Vより下に沈む。
リンギング
反射が往復して減衰振動が発生する。
信号反射の対策
信号反射を抑える基本は
インピーダンス整合
です。
代表的な対策は次の通りです。
ソース終端(ダンピング抵抗)
ドライバ直後に直列抵抗を入れます。
R ≈ Z0 − ドライバ内部抵抗
受信側終端
受信側で特性インピーダンスに合わせた抵抗を入れます。
配線を短くする
最も確実な方法です。
スタブを減らす
分岐配線を短くします。
FAQ:信号反射とインピーダンス不整合に関するよくある質問
Q1. 信号反射とは何ですか?
信号反射とは、信号が配線を伝搬する途中で
一部のエネルギーが送信側へ戻る現象です。
これは主に、信号が進む先で
インピーダンスが変化したときに発生します。
反射した信号が元の信号と重なることで
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
といった波形の乱れが発生します。
Q2. インピーダンス不整合とは何ですか?
インピーダンス不整合とは、信号が伝わる経路の
特性インピーダンスが一致していない状態
のことです。
例えば
- 配線:50Ω
- 受信側回路:高インピーダンス
のように値が一致していないと、
信号の一部が反射します。
Q3. なぜ基板配線で信号反射が起きるのですか?
PCB配線では次のような場所で
インピーダンスが変化することがあります。
- IC入力
- コネクタ
- ビア
- スタブ配線
これらの場所でインピーダンスが変化すると、
信号反射が発生することがあります。
Q4. 低速回路でも信号反射は発生しますか?
発生します。
重要なのは信号周波数ではなく
**信号の立ち上がり時間(エッジ速度)**です。
例えば立ち上がり時間が1nsの信号では
数百MHz帯の高周波成分が含まれます。
そのため
- 数MHzの信号でも
- 数cmの配線でも
信号反射が発生することがあります。
Q5. 信号反射はどのような問題を引き起こしますか?
信号反射が起こると、波形に次のような影響が出ます。
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
- EMIノイズ増加
これらはデジタル回路の誤動作や
信号品質の低下につながる可能性があります。
Q6. 信号反射を防ぐ方法はありますか?
信号反射を抑える基本は
インピーダンス整合
です。
主な対策は次の通りです。
- ソース終端(ダンピング抵抗)
- 受信側終端
- 配線を短くする
- スタブ配線を減らす
これらの対策により、反射を小さくできます。
Q7. 反射係数とは何ですか?
反射係数とは、信号がどれだけ反射するかを表す値です。
式は次の通りです。
Γ = (ZL − Z0) / (ZL + Z0)
- Z0:配線の特性インピーダンス
- ZL:負荷インピーダンス
インピーダンスが一致している場合、
Γ = 0
となり、反射は発生しません。
まとめ
信号反射とは
インピーダンス不整合によって信号が跳ね返る現象
です。
この反射によって
- オーバーシュート
- アンダーシュート
- リンギング
といった波形の乱れが発生します。
そのため基板設計では
- インピーダンス整合
- 適切な終端
- 配線構造の最適化
といった Signal Integrity設計 が重要になります。
もしよければですが、

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