当記事では、プリント基板の代表的な表面処理を紹介しています。
現在、代表的なプリント基板の表面処理は「水溶性プレフラックス」、「半田レベラー」、「無電解金めっき」、「電解金めっき」の四種類。
私は、プリント基板の設計をしていますが基板設計だけでなく、試作基板とメタルマスクの手配も行います。
試作基板とメタルマスクの手配を行う様になる以前はプリント基板の表面処理の事を気にすることはなかった。
プリント基板の表面処理が基板の設計に与える影響はほとんどありません。唯一電解金メッキ端子の時に金メッキ用に金メッキ端子から金メッキ用の線を基板の外に引き出す作業が必要になります。
基板の設計者が実際に生基板や自分が設計し部品が実装された状態を見る機会も多くはありません。
ですので、プリント基板の設計者が基板設計時に基板の表面処理を気にすることは、ほとんどありません。
設計時に支給される仕様書に表面処理方法が書かれているので、存在することは知っていますが、どんな物かまでは、私も試作基板・メタルマスクの手配をするようになるまでは知りませんでした。
私が、プリント基板の表面処理の違いを知るようになったのは、試作基板の調達をするようになってからの事です。
半田レベラーに共晶半田レベラーと鉛フリー半田レベラーがある事を知ったのも同じ理由からです。
半田レベラー以外にプリント基板の表面処理にはどういったものがあるのでしょうか。
気になりましたので調べてみました。
代表的なプリント基板の表面処理は下記の4種類でそれぞれ長所と短所があります。
・水溶性プレフラックス(OSP)
・半田レベラー(共晶半田レベラー処理と無鉛半田レベラー処理があります。)
・無電解金めっき(金フラッシュ)
・電解金メッキ
プリント基板の表面処理とは
プリント基板上には部品を実装する為にランドやパッドと呼ばれる銅が露出している部分があります。
銅は空気と触れると酸化し錆びてしまいます。又、人の指紋でも酸化します。
銅の酸化を防止するために、銅表面にコーティングすることを表面処理と呼んでいます。
水溶性プレフラックス
水溶性プレフラックス処理はOSPと呼ばれたりします。
見た目の色は、けがれの無い銅の色をしています。身近なところで例えますと新品の10円硬貨の色です。
保管期限が短いのでまとまった枚数が出荷される量産品に向いています。
水溶性プレフラックス処理のメリットはコストが安いうえに実装時の半田との接続信頼性の実績が高いこと。表面の平坦度も高いことです。
デメリットは賞味期限が短いので部品実装を推奨期間内に迅速に行う必要があります。
半田レベラー
鉛入りの半田を使う共晶半田レベラー、鉛フリーの半田を使う無鉛半田レベラーがあります。
保管期限が6ヵ月。
メリットは、コストも水溶性プリフラックスよりは高いが安い部類に入る。
信頼性も高いため多くの基板で採用されています。
デメリットは表面処理の厚みにばらつきがあり、平滑度を求められる部品の実装には向いていません。
無電解金めっき
無電解金めっきは金フラッシュと呼ばれたりします。
電気を使わずに無電解ニッケルめっき層の上に無電解金めっき層を施します。
ニッケルめっき厚が1~5μm、金めっき厚が0.01~0.05μm。
保管期限が6ヵ月
メリットはプリフラックス・半田レベラーと比較して半田の濡れ性が高く、表面の平滑度も高い。
デメリットは「水溶性プリフラックス」、「半田レベラー」と比較してコストが高い。
電解金メッキ
電気を流して金めっきをします。
金めっき厚が0.1~0.3μmなので無電解金めっきと比べて厚みがありま、めっきが硬く剥がれにくい。
ファミコンやスーパーファミコンのカートリッジ、PCエンジンのHuカードなどで見かけた方も多いと思います。
今ですとメモリーカードやPCの拡張ボード等の抜き差し部分に使用されています。
デメリットはコストが最も高い。半田濡れ性が悪く部品実装には適していないので抜き差しの端子部のみ電解金めっき処理して、それ以外はフラックスや半田レベラー、金フラッシュ処理を行います。
まとめ
プリント基板の表面処理は、部品を実装するためのランドやパッドと呼ばれる銅が露出している箇所の銅の酸化防止のためにコーティングすることです。
現在、代表的なプリント基板の表面処理は四種類あり「水溶性プリフラックス」、「共晶半田レベラー・無鉛半田レベラー」、「無電解金めっき」、「電解金めっき」があります。